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» 2018年12月04日 06時00分 公開

決済データ×広告で何が変わるのか(後編):元ココカラファイン郡司 昇氏、ライオン横手弘宣氏と語る次世代の店舗 (1/2)

リテールテックの先にある小売業やメーカーの未来とは。

[ITmedia マーケティング]

 前編「クレディセゾンとオムニバスが描くリテールテックとマーケティングのこれから」では、アドテクノロジーを軸にデジタルマーケティング支援サービスを提供するオムニバスがクレディセゾンと共同開催したセミナーから、両社の現状認識と現在の取り組みについて紹介した。

 今回は、第2部で実施した「決済データ×アドの挑戦をプロはどう見る? リテールテックにおける共進化の可能性」と題したパネルディスカッションのハイライトをお届けする。

 ここでは、元ココカラファインのマーケターで店舗のICT化のプロである郡司 昇氏(店舗のICT活用研究所代表)とライオン オーラルケア事業部ブランドマネージャーの横手弘宣氏をゲストに迎えた。

リテールテックが変えるマーケティングの未来とは?

プロが注目する世界のリテールテックキーワード

栗田宏美氏 クレディセゾンの栗田宏美氏

 司会を務めたクレディセゾン デジタルマーケティング部の栗田宏美氏は冒頭、ゲストの2人にオムニバス代表取締役の山本章悟氏を加えた3人に、リテールテックにおける世界のトレンドの中で何に注目しているか、キーワードを尋ねた。

 郡司氏が挙げたのは「Amazon Go」だ。前編でも話題になったAmazonの無人店舗で、専用アプリをダウンロードしてECのAmazon IDでログインすると2次元コードが発行され、店舗のゲートに設置されたセンサーを駅の自動改札機のようにタッチすると入場ができる。あとは棚から自分の欲しいものをカバンやエコバッグに入れて帰るだけで決済まで完了する。

郡司 昇氏 店舗のICT活用研究所代表の郡司 昇氏

 郡司氏はこれまでAmazon Goに11回訪れている。はじめのうちは会計もせず店を出ることに万引きをしたようなうしろめたさを感じたが、3回目くらいから慣れてきて、値札を見なくなったそうだ。

 無人レジといわれるが、実際Amazon Goには常に10人くらいの店員がいるという。Amazon Goは人力の削減が目的でないのだ。ならばなぜこれを始めたのか。郡司氏がAmazonの関係者に質問したところ、答えは「Amazonの機械学習チームが、店員と客との不必要な会話がない店を作ってみたかったから」というものだったそうだ。

横手弘宣氏 ライオンの横手弘宣氏

 横手氏が挙げたのは「b8ta(ベータ)」。これは、まだ一般に普及していないようなユニークな製品を展示しつつ販売するショウルーム型の店舗だ。メモを取るとそれが全てデジタル化される紙や、サブスクリプション型の電動歯ブラシ、電動スクーターなど、ジャンルをとわずさまざまなものがそろう。モノより体験を売る店ともいえる。

 b8taで製品を販売する企業は、売り場代を支払ってプロトタイプを並べる。b8taは、来店客がその製品に対してどう反応し、どういう感情を抱いて購入に至ったか(至らなかったか)を店内カメラの映像から判定してそのデータを管理し、販売企業にフィードバックする。b8taは設立から3年で米国の主要都市に12店舗、大手ホームセンター内に70店舗を構える。訪れた人の約7割が店内の商品を実際に初めて見るという。スタートアップから大企業まで規模を問わずさまざまな企業が製品のテストという名目でb8taを利用している。

山本章悟氏 オムニバス代表取締役の山本章悟氏

 山本氏が挙げたのは「中国」。既によく知られているように、中国ではどこでも何でもQR決済が可能になっている。例えば飲食店に行くとテーブルにQRコードがあって、それをスマホでスキャンすると画面にメニューが表示され、食べたいものを選択すると厨房から持ってきてくれる。店員が注文を取りにくることもなければ会計も発生しない。山本氏は、このような仕組みを「WeChat Pay」や「ALIPAY」などが自ら生み出したのでなく、それらをインフラとして利用するサードパーティーが開発しているという、エコシステムの在り方にも注目している。

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