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» 2018年10月25日 07時00分 公開

動画広告で成功するクリエイティブ設計:売り上げに貢献する広告クリエイティブ、実現の鍵は「デジタル化するリアル店舗」との連携 (1/2)

「デジタルで広告を面白く」は手段の1つではあってもゴールではありません。売り上げに貢献する広告を実現するため、マーケターや広告クリエイターはより広い視野を持つ必要があります。

[中田大樹,CyberBull]

 前回「売り上げに貢献する広告クリエイティブを作る」では、これからの時代には「商品が売れる」広告クリエイティブこそが評価されていくということをお伝えしました。

 さすがに2018年になってからはもう「動画元年」という言葉も聞かなくなり(むしろ動画2.0)、今や動画広告は新しいものでも特別なものでもなく、マーケティングの1つの手段として当たり前に活用されるようになりました。

 売り上げに貢献する広告クリエイティブを成功させるためには、スマートフォン動画広告だけでは十分ではありません。当社では、FMCG(日用消費財)マーケティングの支援もしていますが、例えばお菓子や飲料の売り上げを上げるためには、スマートフォンから店舗まで一気通貫したマーケティングを考えるべきです。生活者とのさまざまなタッチポイントにおいて動画というリッチコンテンツを有効活用すべきなのです。

 私が仮に広告主側でモノを持っているメーカーの人間だとしたら、今後3年間の広告市場で注目すべきテーマとして「リアルでの体験をもっと活用する」「広告接触データと購買データを結び付ける」の2つに注目したいと思うでしょう。逆をいうと、マーケターや広告クリエイターはデジタルの仕事だけではなくこの点についても理解を深めると、さらにマーケティングが面白くなるのではと思います。

リアルでの体験をもっと活用する

 ここでいう「リアル」の定義は、販売チャネルの1つである「店頭」を意味します。自社で店舗を保有している場合は自社店舗、小売店へ卸して販売委託している場合はコンビニエンスストア(CVS)や量販店、ドラッグストアや百貨店などの店舗のことを指します。

 日本のマーケティング活動は、コストリーダーシップ戦略(注)の下、広告を大量投下してマーケットを創造する米国の文化に大きく影響を受けています。しかし、私はリアルな店頭においてこそ、顧客体験を生み出しもっとブランド体験を生み出していく努力が必要ではないかと考えています。

注:低コストを実現して他社より優位に立とうとする戦略。「差別化戦略」「集中戦略」と並び、ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授が提唱する3つの競争戦略の1つ。

 実は、欧州には真逆のマーケティング文化があります。大量の広告に投資をするよりも、店頭やオウンドメディアでのブランド体験への投資をより重要視するのです。欧州の店頭における商品のPOPや什器(じゅうき)、サイネージなどによる空間演出は、日本と全く異なります。

 実際に、私自身も2018年9月にフランス行われた「PARIS RETAIL WEEK」に参加して、世界の最先端の店頭マーケティングを体験してきました。

頭上のホログラムで映像や画像が映し出される《クリックで拡大》
ガラスケース内でホログラムが動いてグラスにシャンパンを注いでくれる演出《クリックで拡大》

 業界の成り立ちや文化が違うので、欧州のメーカーが行っていることをそのまま日本で実施することは簡単ではありませんが、店頭での演出を通した顧客体験の創出については学ぶべきことが多いと感じました。

 ここで捉えておいた方がよいのは、リアル店舗のデジタル化です。

 既に日本でも無人店舗の実証実験などが進んでおり、これから店舗のデジタル化の波は加速するでしょう。デジタル化する店舗の中で、自社の商品の魅力をいかに顧客に届けるかというのは、メーカーがこれから向き合っていくべきイシューだと考えています。

 例えば、店頭の商品をユーザーが手に取ったら什器に付いているディスプレイから商品のコンテンツが流れる仕組みや、アプリと連動して陳列棚を通った瞬間にユーザーのスマートフォンにプッシュ通知してコンテンツが流れるといったことが、どんどん実現していきます。

 いずれの技術も、単にテクノロジーを使って店頭を面白くするのではなく、あくまで生活者への新たな顧客体験を生み出すことが目的となっています。

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