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» 2013年01月21日 08時36分 UPDATE

【連載】海外事例に学ぶマーケティングイノベーション:第4回 海外のソーシャルメディアプロモーション、9つのトレンド (1/2)

9つのキャンペーンを例にとりながら、各ブランドがソーシャルメディアにどのような役割を担わせ、どのような仕掛けを埋め込み、一体何を成し遂げたのかをご紹介する。

[馬渕邦美,オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン]

 2012年、日本でのソーシャルメディアの利用者は、国内インターネット普及人口の半分にあたる5億60万人。20歳から40歳までの世代では、5人に3人が利用している。Webマーケティング研究会では2013年のFacebook利用者が前年比20%増の2000万人に到達すると予想している。

 あるべき姿が固定されている従来の広告手法とは異なり、ソーシャルメディアでの広告手法は発展の余地が大きい。新しいメディアであり、ユーザー側も積極的に参画することができるため、メディア内でのコミュニケーションを変化させることが可能である。よって、この分野での広告手法の発展も目覚ましい。昨日まで効果があったキャンペーンが、明日には時代遅れになっている状況が2013年も続くと考えられる。

 9つのキャンペーンを例にとりながら、各ブランドがソーシャルメディアにどのような役割を担わせ、どのような仕掛けを埋め込み、一体何を成し遂げたのかをご紹介する。

1. Skittles|Mob the Rainbowキャンペーン:参加型イベントで楽しく! 多くの人に! ブランド価値を拡散

 Skittlesは子供から大人まで、多くのファンを獲得している大手キャンディー ブランドである。キャンペーンの実施前ですでに、Facebook上で350万のファンを持ち、スターバックスコーヒー、コカ・コーラに次ぐ世界第3位のポジションを誇っていた。しかし、Skittlesは、最初に「Like!」を押して終わってしまうファンを集めることだけがマーケティング活動として正しいのか、疑問を持った。ブランドとロイヤルファンとのインタラクションがそんな希薄なものでよいのか? その後のブランドへのエンゲージメントに本当につながるのであろうか? ファンの数を競うことだけが正しいのであろうか? そのような疑問に対し、Skittlesは、眠れるファンを覚醒させ、ブランドへのエンゲージメントを最大化するためにMob the Rainbowキャンペーンを実施した。

 Mob the Rainbowキャンペーンは、10種類前後のファン参加型イベントで構成されている。その中の1つ、「バレンタインに日頃の感謝を込めて、みんなが幸せになるSkittlesをプレゼントしよう!」では、普段あまり愛されることのない駐車取締官に、Skittlesをサプライズでプレゼントした。Facebook上でファンからメッセージを受け付け、実際にSkittlesをあげるシーンを撮影、Facebookで発表するというソーシャルメディア版視聴者参加型番組といった感じだ。このキャンペーンには視聴者を企画イベントに参加させながら楽しませ、その中で、Skittlesのブランド価値を拡散させていく仕掛けが盛り込まれている。

 結果的にこのキャンペーンは、ブランドとユーザーとのエンゲージメントの活性化に成功し、ファン数は350万から500万にまで拡大した。

2. RedBull|Felix Baumgartner's jumpキャンペーン:特別な時間とブランド価値を共有

 レッドブルのキャンペーンには目をみはるものがあった。2012年10月14日、レッドブルがスポンサーをつとめたキャンペーンで、スカイダイバー フェリックス・バウムガートナー(Felix Baumgartner)が23マイル上空からフリージャンプを成し遂げたのだ。

 宇宙飛行に匹敵するこの大掛かりなイベントは、ソーシャルメディアで大きな話題をさらった。ダイバーの興奮した精神状態と、レッドブルの商品特性がリンクし、このイベントが、レッドブルのプロダクトイメージを際立たせた。

 ジャンプの瞬間には多くの人々がその状況を見守り、また、ジャンプ後も、話題が話題を呼んで、ビデオは3000万回以上再生されることとなった。

 このジャンプによってレッドブルは“命知らずのスポーツ”と同義的なニュアンスを獲得し、レッドブルの先進性と商品の特性を視聴者に強く印象付けた。エナジードリンクが乱立する現在、レッドブルのソーシャルブランディングは成功したといえよう。

3. Ben & Jerry's|euphoriaキャンペーン:ブランドがもたらす情緒的価値の拡散

 Ben & Jerry'sのソーシャルメディアの利用目的は、「自社製品であるアイスクリームがもたらす、美味しく、この上ない幸せな気分を、ソーシャルメディアを利用しているターゲットに想起させ、話題にしてもらい、売り上げにつなげる」ということだ。

 Ben & Jerry'sのキャンペーンの注目点は、企業の取り組みながら、商業臭さを抑え、ユーザーの参加数を高めることに工夫を凝らした点だろう。

 企業側はできるだけ企業のブランドや商品を露出したいという欲求があるが、あまりにも商業臭が強いとソーシャルメディアでは毛嫌いされてしまう。

 Ben & Jerry'sは、「Ben & Jerry'sのアイスクリームを食べて幸せな瞬間を投稿する」という企画ではなく、多幸感という感情に着目し、このキーワードにまつわる瞬間を投稿するキャンペーンを展開することとした。

 これであれば、Ben & Jerry'sアイスクリームだけにとらわれず、より身近で、投稿されやすいトピックとなり、かつ、Ben & Jerry'sのアイスクリームの価値を軸に、Buzzが展開する、世俗的な話題性と商業的なブランドメッセージとのバランス感覚に優れた企画だ。

 また、このキャンペーンでは参加率を高めるため、選考された写真はBen & Jerry's の広告に採用されるという特典を提供し、参加者のモチベーションを高める仕掛けも設けた。結果、1億ページビューが達成され、このキャンペーンに費やした費用と反響を勘案するに、費用対効果の観点で、極めて優れたキャンペーンとなった。

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