良いマーケターは数字を理解している。悪いマーケターは目標を言えない。良いマーケターはダッシュボードをまめにトラッキングする。悪いマーケターは新しいキャンペーンが始まると喜び、全てが計画通りに進んでいると思い込む――。
本稿はMetaのVR、MR、メタバース担当グローバルマーケティングシニアディレクターを務めるデイブ・カウフマン氏によるゲスト寄稿である。本稿は、大手ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz(略称a16z、正式名称はAH Capital Management)の共同創業者でベストセラー書「The Hard Thing About Hard Things: Building a Business When There Are No Easy Answers」(「HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」日経BP、2015年)の著者として知られるベン・ホロウィッツ氏の代表的なエッセイ「Good Product Manager/Bad Product Manager(良いプロダクトマネジャー/悪いプロダクトマネジャー)」にインスパイアされたものであり、意見は筆者個人のものだ。
良いマーケターは戦略、ビジョン、戦術、ミッションの違いを知っている。悪いマーケターはこれらの用語を混同して使っている。良いマーケターはマーケティング教育、継続的な学習、専門知識を重視する。悪いマーケターはこの分野を単に優れた直感(そしておそらくTikTokのアカウント)が必要な分野だと考えている。
良いマーケターは4Pを理解し、診断、戦略、実行の順に注力する。悪いマーケターはプロモーション戦術ばかりに焦点を当てる。良いマーケターは市場志向、リサーチ、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの価値を理解している。悪いマーケターはこれらの概念を「デジタル時代には関係ない」と切り捨てる。
良いマーケターは競争の状況、市場の複雑さ、自社、競争上の優位性、弱点、そしてオーディエンスを理解している。悪いマーケターは大雑把な一般論や決まり文句、役に立たないユーザーペルソナ(「ミレニアル世代のミシェル」など)でこれらの概念を語る。
良いマーケターは「製品」が4Pの一つであることを理解している。悪いマーケターは自分の仕事が始まるのは製品が開発されたときからだと考えている。良いマーケターはプロダクトマネジャーから必要不可欠なパートナーとして見られている。悪いマーケターは広告を作るときまでプロダクトマネジャーから意識されない。
良いマーケターは数字を理解している。悪いマーケターは目標を言えない。良いマーケターはダッシュボードの数字をまめにトラッキングする。悪いマーケターは新しいキャンペーンが始まると喜び、全てが計画通りに進んでいると思い込む。良いマーケターは会社全体や経営幹部から信頼されている。悪いマーケターは損益計算書よりもマズローの欲求階層について話すため、信頼を得られない。
良いマーケターは優れたクリエイティブブリーフを書くために何が必要かを理解している。悪いマーケターは、ブリーフを書くのはフォームに記入するのと同じくらい簡単だと思っている。良いマーケターは自分とクリエイティブディレクターの役割の違いを理解しているため、クリエイターやエージェンシーから信頼されている。悪いマーケターは自分をドン・ドレイパー(ドラマ「マッドメン」の主人公)だと思っている。良いマーケターは優れたクリエイティブの価値と、それをインパクトのあるものにする要因を理解している。悪いマーケターはクリエイティブを「あればいいもの」「最後の仕上げ」としか考えていない。良いマーケターは「ブランド」が実際に何を意味するのか、そしてそれが生み出すビジネス価値を理解している。悪いマーケターはブランドをフォントの選択やロゴデザインのことだと考えている。
良いマーケターはマーケティングの効果、効率、そしてその両方の測定の複雑さを理解している。悪いマーケターは分析担当者がそれを解明してくれると思い込んでいる。良いマーケターは増分や長期的インパクトの測定、そしてその2つの組み合わせについて考える。悪いマーケターは虚栄心を満たすような指標についてしか語れず、ラストタッチのアトリビューションしか見ない。良いマーケターは市場での成功に基づいて自分を評価する。悪いマーケターはカンヌでの評価だけで自分たちを測る。
良いマーケターはエンゲージメント、リテンション、リファーラルを促進する方法を理解している。悪いマーケターは自分たちの仕事は獲得で終わりだと考えている。
良いマーケターは言い訳をすることなく責任を持って成果を出す。悪いマーケターは予算不足、組織設計、部門横断的なパートナーのせいにする。良いマーケターは他人をスポットライトの当たる場所に押しやる。悪いマーケターは、成功の手柄を自分のものとし、失敗を他の人のせいにする。
良いマーケターは文書化、コミュニケーション、情報共有の重要性を理解している。悪いマーケターは他の人がスピードについていけないことをバカにしている。良いマーケターは常にプロセスを改善し、拡張性のあるツールやインフラを特定する。悪いマーケターは同じ手作業の手順や非効率な作業を何度も力ずくで繰り返す。
良いマーケターは「分かりません」と言うことを恐れない。悪いマーケターは不確かなことについてでたらめを言う。良いマーケターは率直で、思い込みを疑い、「それがいつものやり方です」とは言わない。悪いマーケターは臆病で、「それは私の専門外です」などと言う。
良いマーケターはなかなか見つからない。悪いマーケターは世にあふれている。
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