SDGsプロジェクトはTBWA HAKUHODOのマーケティング戦略組織である65dB TOKYOと共同で、「気候危機」に対する日英米の生活者の意識・行動について、定量・定性調査から得られた生活者の声を分析し、行動変容を促すヒントをまとめました。
記録的な猛暑が世界各地で報告された2023年夏、アントニオ・グテーレス国連事務総長は「地球沸騰化」という表現を用いて、地球温暖化の進行が危機的な状況であることを訴えました。そのような中、実際に生活者は気候危機に対してどのような意識を持ち、どの程度行動に移しているのか。博報堂の全社的プロジェクトでSDGsの視点からクライアント企業のビジネスイノベーションを支援するSDGsプロジェクトはTBWA HAKUHODOのマーケティング戦略組織である65dB TOKYOと共同で、「気候危機」に対する日英米の生活者の意識・行動について調査した結果をまとめた「Climate Crisis Action Report」を公開しました。
2023年12月1日から12月22日の間、ソーシャルリスニングツール「Brand Watch」を使ってX(旧Twitter)上で「気候変動」「気候危機」「異常気象」「自然災害」などのキーワードを含む投稿を収集しました。その結果、「気候危機」「気候変動」の話題量が各国で減少していること分かりました。日本でも2018年をピークに減少しています。
日米英在住の10代から70代男女1260人に聞いた「気候変動」「気候危機」についての理解度は、日本が最も低いことが分かりました。気候変動について「言葉の意味もしくは現象の内容までよく知っている」と回答した割合は英国が59.9%、米国が63.5%だったのに対し、日本は20.6%と他の2国の3分の1程度にとどまっています。気候危機についても同様で、言葉の意味もしくは現象の内容までよく知っている人の割合は英国が46.9%、米国が47.8%であるのに対し、日本はわずか10.1%でした。
気候変動や気候危機についての理解度は低い日本ですが、危機意識は高いようです。「今すぐ社会問題や環境問題に取り組まなければ手遅れになると思う」という質問に対して「非常にそう思う」と「ややそう思う」を合わせた割合は米国が58.6%、英国が67.2%であったのに対し、日本は70.6%と、7割を超えました。
その高い危機意識が生活者の具体的な行動変化につながっているのかというと、必ずしもそうではないようです。日常生活の中で、気候危機に対して積極的に意識して行動を始めている割合は、英国が26.1%、米国が17.0%であるのに対し、日本は8.1%でした。それでも、その8.1%の人たちに具体的なアクションの実施有無を聞くと、「マイバックの持参」や「ごみの分別」など、日々の生活の中でさまざまな行動を取り入れていることが明らかになりました。
より生活にひも付いた内容であるほど生活者の行動につながっていることから、レポートは生活者が無理なく気候危機アクションに参画しやすくなるための新しいコミュニケーションコンセプトとして、「Well-Sustainabeing(心地よさとサステナビリティの両立)」を提唱。企業が生活者の共感を醸成しながら実際に気候変動アクションに移してもらうための6つのコミュニケーションポイントとして、以下の6つを挙げています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.