CtoCビジネスというイメージの強いnoteだが、法人向けSaaS「note pro」の業績も好調だ。同サービスのARR(年間経常収益)は7億5700万円に達し、前年同期比34.4%増という高成長を維持している。
この躍進の背景には、長年続いた「SEO至上主義」の崩壊がある。
かつて企業のオウンドメディアは、検索上位を狙うためにキーワードを詰め込んだ「機能的価値」の発信に終始していた。しかし、こうした記事は生成AIによって容易に代替可能となった。その結果、企業はAIには伝えられない「情緒的価値」(ブランド、文化、人)を発信する「ナラティブ・ブランディング」へと舵を切る必要に迫られたのである。
特に2025年に顕著だったのが、採用広報での活用である。
カルビーやキリン、ビジョナルといった大手企業がnote proを導入し、社員の情熱や開発秘話を物語として発信することで、潜在的な求職者層へのアプローチを強化している。
単なる機能説明ではなく、社風や熱量という「目に見えない資産」を可視化するインフラとして、note proがエンタープライズ級の認知を得た意義は大きい。また、読了率やスクロール率を可視化する独自の解析機能は、企業が「バズ」ではなく「深いファン作り」の指標をKPIに置くことを可能にし、高単価かつ高い継続率を実現する要因となっている。
noteは、2026年11月期の連結業績予想で、売上高56.0億円(前期比35.2%増)、営業利益7.0億円(同173.3%増)という極めて強気な姿勢を提示している 。収益構造の筋肉質化が進む中で、同社はAI関連事業やデータライセンスなど、2025年に生まれた成長機会を育てていく見通しだ。
しかし、死角がないわけではない。ユーザーが複数のサブスクリプションを抱えることによる「サブスク疲れ」の影響があるかもしれない。また、AIが今よりも人間の感情や文脈をより完璧に模倣できるようになったら、現在のGoogleとの提携が打ち切られる可能性も0ではないだろう。
2025年のnoteの躍進は、生成AIという技術的脅威に対し、正面から技術で対抗するのではなく、人間性への回帰という逆説的な戦略によって勝利したまれな事例といえる。
デジタル空間が合成データであふれるほど、noteが蓄積する「生身の言葉」の希少価値は高まっていく。同社は単なるブログサービスから、AI時代のデジタル社会における「人間性の保存領域」のインフラへと進化を遂げられるのか、注目していきたい。
学研が挑む"真のDX"──「本当に使われるデジタル」で目指す教育価値のバリューアップ
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