BEAMSが「購入金額」よりも重視する指標は? 新ポイント制度の狙い

購入金額の多い人だけが、大切にすべき顧客なのだろうか──。この疑問に、独自の評価指標を掲げて取り組むのが「BEAMS」(ビームス)だ。同社は、顧客のロイヤルティが高い状態を“相思相愛”と定義し、構想から構築まで約3年かけて会員プログラム「BEAMS CLUB」の刷新プロジェクトを進めた。

» 2026年01月09日 06時00分 公開
[野本纏花ITmedia]

 購入金額の多い人だけが、大切にすべき顧客なのだろうか──。

 この疑問に、独自の評価指標を掲げて取り組むのが「BEAMS」(ビームス)だ。

 “ファン=自社が大切にすべき顧客”とするならば、そのつながりを深める会員プログラムは、購入金額に応じたポイント付与だけで十分なのだろうか。この問いに真正面から向き合い、大規模な会員プログラムの刷新に踏み切った。

(出所:プレスリリース)

 同社は、顧客のロイヤルティが高い状態を“相思相愛”と定義し、構想から構築まで約3年かけて会員プログラム「BEAMS CLUB」の刷新プロジェクトを進めた。「相思相愛」をどのように指標としているのだろうか。

Salesforce主催「Agentforce World Tour Tokyo 人とAIが共に働く時代へようこそ」のセッションから、「ビームスに学ぶ『相思相愛』CRM戦略と、AIエージェントが拓く新体験」の内容を紹介する。


購入金額だけがロイヤルティの証ではない

 2002年にスタートしたBEAMS CLUB。段階的にポイント制・ステージ制・ランク制が導入され、2016年にはECシステムと会員システムのリニューアル、そしてマーケティングオートメーションの導入と会員アプリのリリースという4大プロジェクトを決行。2019年にはLINEとの連携も実現した。

BEAMS CLUB(出所:公式Webサイトより)

 だが、その後コロナ禍に入り、山崎勇一氏(マーケティング本部本部長 兼 宣伝販促部部長)の頭には、次のような疑念が浮かぶようになっていた。

1. ほんとうに大切にすべきお客さまとは誰なのか。たくさん購入してくれる方だけを大切にすれば良いのか。それ以外の方は……?

2. 当時、運用していたポイントプログラムの評価基準は購入金額のみ。ポイント付与をインセンティブとした企業都合の施策が乱立しているが、ほんとうにこのままで良いのか…?

3. ポイント施策が乱立した結果、システム上の制約が大きくなり、もはや限界なのでは…?

 そこから社内のさまざまな領域のメンバーと1年以上かけて、「BEAMSらしいロイヤルティとは何か」と、議論を重ねた。その結果、たどり着いた言葉が“相思相愛”である。

 「まずはBEAMSならではの感動体験がある。その体験によってBEAMSへの共感や愛着が生まれ、継続的な体験が経験に変わり、経験の積み重ねによって感情が高まり、長期的で深い関係性につながっていく──。その先にあるのが“相思相愛”だ」と山崎氏は語り、「相思相愛 = CX(個客体験) × n(回数)」という図式を示した。

どうやって“相思相愛”までの道のりを可視化したのか

 そうして2024年9月にBEAMS CLUBをリニューアル。「相思相愛を実現するには、お客さまにハッピーになってもらう機会や体験を増やし、これまでとは異なる次元で関係構築を図る必要がある」という考えのもと、会員ステージの金額条件は変えず、新会員制度では「多様性・中長期的な関係構築・ステージ別人数の偏りの緩和・公平性の向上」の4つを軸に進化させたという。

 なかでも最も大きな変更点が、「BEAMS MILE」(ビームス マイル)というマイル制の導入だ。マイルはお買い物だけでなく、アプリログインやショップフォロー、イベント参加、アンケート回答などのアクションでも貯めることができる。購入金額の多寡だけに依らず、ブランドに触れ続ける行動そのものをロイヤルティ指標に組み込んだ形だ。

マイルの貯め方(出所:公式Webサイトより)

 従来の年次リセット型のステージ判定では購入月によって不公平感が生じていたことから、新会員プログラムでは月次更新型を採用している。

 「今回のリニューアルにより、メールマガジンのパーミッション率(許諾獲得率)が約15ポイント上昇した。ポイントをインセンティブにアクションを促していた頃に比べ、お客さまが能動的にアクションしてくれるようになったと感じている」と山崎氏は語る。

 「お客さまからいただくデータの質と量は圧倒的に変わった。オンライン・オフラインのデータを駆使しながら、新たな体験や価値を届けていくことこそ、マーケティングの根幹であると考えている」という山崎氏。「データやAIを活用しながら、お客さまと相思相愛になっていきたい」と展望を述べ、セッションを締め括った。

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