生成系人工知能(Generative AI)に対する楽観的な見方は、2023年から9ポイント上昇したことが新たな調査で明らかになった。
丸亀製麺の"感動”創造戦略 〜CXとEXのスパイラルアップが生み出す内発化〜
【開催期間】2025年7月9日(水)〜8月6日(水)
【視聴】無料
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【概要】2025年3月期決算で、売上収益・事業利益・事業利益率ともに過去最高を更新した丸亀製麺。持続的な成長をつくる「感動創造」と「ブランド力向上」の本質に迫ります。本セッションでは、丸亀製麺の同質化しない唯一無二のマーケティング戦略とCX/EX戦略を紐解きながら、データサイエンスと感性を融合させた勝率の高い新しいマーケティングモデルの最前線を説明します。
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が2025年4月から5月にかけて200人のCMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)を対象に実施したグローバル調査によると、マーケティングにおける生成系AI(人工知能)の役割に対する懸念が依然として残る一方で、CMOの83%がこの技術に対して楽観的な見方を示しており、前年より5ポイント増加した。信頼が高まると同時に、投資額も拡大しており、回答者の71%が今後3年間で1000万ドル以上を生成系AIに投資する計画だと回答している。これは、前年の57%から大幅に増加した数値である。
BCGのシニアアドバイザーであるデイビッド・エデルマン氏は「AIはこれまでの『試す・遊ぶ対象』から『マーケティングプロセスの中核に組み込まれる存在』へと進化しつつある」と述べている。
本調査結果をまとめたレポート「How CMOs Are Scaling GenAI in Turbulent Times(不安定な時代においてCMOは生成系AIをどう拡張しているか)」は、世界中の200人のCMOを対象に実施された調査に基づいている。
生成系AIがマーケティング業界でますます存在感を強める中で、CMOたちのこの技術に対する見解にも変化が見られる。2023年以降、CMOの大多数が生成系AIに対して楽観的な見方を示しており、その割合は2023年の74%から2025年には83%へと9ポイント上昇した。
一方で、不安や懸念を感じていると答えた割合は、同期間で46%から23%へと23ポイント減少した。技術自体を完全に拒絶している回答者はわずか8%と、1桁台にまで減っている。
過去12カ月にわたり、CMOたちはAIの導入と活用を着実に拡大してきた。特に、画像生成だけにとどまらず、より幅広い機能への展開が進んでいる。調査回答者のうち68%は、人物を使用せずにライブアクション風の映像を生成する技術をすでに導入している、あるいは今後導入する予定であると回答している。また、同じく68%が、映像編集や補完などの動画強化にAIを活用している、あるいは活用を計画していると回答している。動画関連の活用が次の注目分野となっている一方で、91%の回答者がテキスト翻訳支援にAIを導入済み、または導入予定であると答えている。
ただし、生成系AIを活用することでコンテンツの大量生成が可能になるからといって、むやみにコンテンツの量を増やすべきではない。情報の洪水により消費者の関心を損なう可能性があるためだ。
エデルマン氏は「確かに多くのコンテンツを作れるようになったが、結果としてマーケターが消費者に向けて過剰にコンテンツを発信してしまう可能性がある。これは『共有地の悲劇(Tragedy of the Commons)』のような状況になりかねない」と指摘している。
マーケターたちは、生成系AIを単なるコンテンツ生成ツールとしてではなく、顧客体験をパーソナライズする手段としても捉えている。生成系AIは、最適なコンテンツの提案、タイミングを考慮したアプローチ、商品レコメンドなど、さまざまな施策に応用可能である。マーケティング予算が厳しさを増し、消費者が経済的なプレッシャーを感じている中で、AIを活用したオーディエンス最適化は今後ますます重要になるとみられている。
実際に、すでに半数の回答者が商品レコメンデーションにAIを活用しており、さらに37%が今後導入を予定している。カスタムタイミングでのアプローチについては、43%がすでに導入しており、29%が導入を検討中である。コンテンツの効果予測には39%がすでに活用しており、40%が試験運用中である。オーディエンスのセグメント化および最適化でも同様の傾向が見られ、すでに36%が活用しており、44%が導入予定としている。
マーケティング領域での生成系AI活用を次の段階に進めるには、マーケティング部門だけでなく、他部門との連携が必要不可欠である。
エデルマン氏は「マーケターたちは、Cスイート(経営陣)内でAIを活用してビジネスを推進する主導的な役割を担おうとしている。新しい顧客体験の創出や価値提案の提供方法についてのチャンスを見いだしているが、それらはマーケティング部門だけでは完結しない。プロダクトマネジメントやサービスオペレーション、営業など、社内の多様な部門との連携が求められる」と述べている。
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