顧客の声(VoC)を分析し、商品開発や企業活動に反映させる動きが強まっています。企業はどのような「顧客の声」を生かすべきなのでしょうか。本記事では、「役に立つ声」「役に立たない声」、それぞれの特徴を紹介します。
この記事は、『顧客価値を劇的に高める生成AIマーケティング』(大広WEDOテクノロジーチーム著、日本能率協会マネジメントセンター)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
「顧客の声」と一口にいっても、中身は多種多様です。企業活動の役に立つ声もあれば、そんなに役に立たない声もあります。
企業はどのような「顧客の声」を生かすべきなのか、ここで整理しておきます。まずは「役に立たない声」から見ていきましょう。
単なる感情的、暴力的な罵詈(ばり)雑言は、真っ先に「役に立たない声」の例として挙げられるものです。顧客の声ではあるものの、捨ててしまって問題ありません。
ただ、役に立たない声ではあっても、人間が対応し、実際に聞くとなると、それなりにダメージを受けてしまう場合もあります。
「捨ててしまって何の問題もない声」であると分かっていても、罵詈雑言に直面している本人としては、そう簡単に割り切れるものではありません。
その点、AIならば、何のダメージも負わずに、相対し、処理することができます。そのタフネスぶりは、人間の比ではありません。
例えば、ECで自社商品を販売したとします。
「届いた商品が壊れていた」というクレームがあったとしたら、自社の発送に問題があるケースも考えられますから、真摯に聞かなければなりません。
ただ、「自分が指定した時間に商品が届かなかった」というクレームがあったとしたら、それは残念ながら(多くの場合は)物流会社さんなど別の会社の問題です。
このようなクレームも、役に立たない声の一例に挙げられます。
自社や自社商品をベタ褒めしてくれるのはうれしいものですし、ありがたいものです。聞いていて、とても心地よくなります。
しかし、「うれしい」「ありがたい」「心地いい」という感情と、「役に立つか、立たないか」という情報はまったくの別物です。「この顧客は、自社や自社商品をとても気に入ってくれている」というデータは溜めつつも、「声を生かそう」とは考えなくてもよいでしょう。