コカ・コーラが腸活炭酸飲料市場に参入 新たな“ソーダ戦争”を勝ち抜くマーケティング戦略は?Marketing Dive

健康志向の高まりにより、消費者は「より健康的な選択肢」を求めるようになっている。こうした中、PoppiやOlipopといった新興ブランドが市場をリードするプレバイオティクス炭酸飲料市場にCoca-Colaが参入する。

» 2025年02月20日 08時00分 公開
[Chris KellyMarketing Dive]
Marketing Dive

 The Coca-Cola Company(以下、Coca-Cola)が2032年までに35億ドル規模に達すると推定されているプレバイオティック炭酸飲料市場へ参入する。同社は2025年2月18日(米国時間)、新製品「Simply Pop」を発表したのだ。

 Simplyブランドのシニア・ディレクターであるテリカ・ファサキン氏はMarketing Diveに送った声明の中で「プレバイオティクス炭酸飲料市場の成長を知らないなんて、世の中の動きを見ていないのと同じですよ」と語っている。

新市場参入で意識する「これまでとは異なるアプローチ」

Coca-Colaの新ブランド「Simply Pop」は、ストロベリー、パイナップル、マンゴー、ライム、フルーツパンチ、シトラスパンチの5種類のフレーバーで2月下旬に発売される(画像はCoca-Colaのプレスリリースより)

 Simply Popには、腸の健康をサポートする食物繊維が6グラム含まれている他、免疫機能を助けるビタミンCと亜鉛も配合されている。

 この新商品は、同社が米国を中心に展開する天然果汁飲料ブランド「Simply」の飲料ラインを拡充するもので、ストロベリー、パイナップル、マンゴー、ライム、フルーツパンチ、シトラスパンチの5種類のフレーバーを展開する。2月後半から一部地域の小売店で販売が開始される他、Amazon.comが展開する生鮮食品配送サービス「Amazon Fresh」を通じて全米でオンライン販売される予定だ。

 プレバイオティクス炭酸飲料市場は、PoppiやOlipopといった新興ブランドによってけん引されている。特にOlipopは、最新の資金調達ラウンド後の評価額が18億5000万ドルに達している。プレバイオティクス炭酸飲料は、機能性を備えた「より健康的な飲料」を求める消費者の間で人気が高まっている。特にパンデミック以降、健康意識の高まりとともにその需要は拡大している。

 「消費者のニーズは進化しています。では、私たちはどのようにして、消費者が求める製品を提供し、彼らの期待に応えていくべきでしょうか」と、ファサキン氏は述べている。

「ジューシーな新炭酸飲料」として

 Simply Popの発売に当たり、Coca-Colaは全米でオンラインフォーカスグループや対面での消費者調査を含む詳細なエスノグラフィ調査を実施した。その結果、プレバイオティクス飲料の市場浸透率はわずか20%程度にとどまっていることが分かった。そこで同社は、プレバイオティクス製品に興味はあるものの購入をためらっている消費者層に注目した。

 調査から得られた最大の教訓は、飲料市場において「味」が最も重要であるという点だった。Coca-Colaは、機能性を備えながらもフルーティーな味わいを重視した新商品を開発する方針を固め、その展開先としてSimplyブランドを選んだ。

 Simplyブランドは2001年に誕生し、現在ではアルコール飲料やミキサー製品を含む20種類以上のラインアップを展開している。このブランドが特に若年層の間で強い力を持つことも、今回の新商品の発売において重要な要素となった。

 「Simplyはミレニアル世代やその他の層にとっては、必ずしも家庭に常備されていたブランドではありませんでした。一方で、Simplyと共に育ったZ世代には非常に強い支持と価値があります。Simplyのブランド力と伝統はパッケージにも反映させています。このブランドは高品質で優れた味わいを提供するという期待をすでに確立しているからです」とファサキン氏は語る。

 Coca-Colaはフルーティーな味わいというブランドの強みを生かし、「ジューシーな新炭酸飲料」としてSimply Popのマーケティングを展開していく。

 マーケティング戦略は、デジタルと体験型プロモーションを中心に展開される予定だ。具体的には、屋外広告、インフルエンサー施策、有料メディア、ソーシャルメディアを活用し、大規模な試飲キャンペーン「Liquids to Lips」も実施する。

 さらに、Simply Popは第2四半期初頭に、女性向けメディアプラットフォーム「Dear Media」と提携。ポップカルチャーの「最もジューシーな話題」をテーマにしたポッドキャストツアーを展開する予定だ。

 「私たちのターゲットはZ世代とミレニアル世代です」とファサキン氏は語る。その上で、チームとして「これまでとは異なるアプローチで市場に登場すること」を意識していると述べた。

 Simply Popの発売は、プレバイオティクス炭酸飲料ブランドが新たな“ソーダ戦争”に突入する中で行われる。最近では、Poppiがスーパーボウルキャンペーンをめぐるバイラル施策で批判を受けた他、OlipopはPepsiCoの「マウンテンデュー」をターゲットにしたマーケティングを展開している。これまでも競争の激しい市場においてライバルとの対決を避けてこなかったCoca-Colaにとって、Simplyブランドの本質を守り続けることが成功の鍵となる。

 「Simplyは、誠実さと一貫性を大切にすることでブランドの評価を築いてきました。私たちは、消費者との本物の関係を築き続けることに全力を注いでいます。その信頼を得るための近道はないと考えています」とファサキン氏は語る。

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