電通の消費者研究プロジェクトチームは、消費者を理解し、Yahoo!広告の配信や分析を実施できる仕組み「DESIRE Targeting」の提供を開始した。
電通の消費者研究プロジェクトチームであるDENTSU DESIRE DESIGN(以下、DDD)は、マーケティングで主流となっているデモグラフィック(性・年代などの属性データ)や興味・関心データによるセグメントだけでなく、人の根源的な心理である「欲望(Desire)」を捉え、「欲望」「デモグラフィック」「興味・関心」の3つの軸で消費者を理解し、Yahoo!広告の配信や分析を行える仕組み「DESIRE Targeting」の提供を開始した。
デジタルマーケティングでは、データを活用して人々の興味・関心を捉えることで顕在層をターゲティングし、コンバージョン率を向上させる。しかし、回を重ねるごとに効率が低下し、顕在化したニーズを追いかけるだけでは潜在層を捉えることが難しいという課題に直面している。
DDDは、マーケティングにおける需要創出のためには、人が心の奥底で望んでいること、すなわち「欲望」を捉える必要があると考え、「DESIRE Targeting」を活用して電通が保有する「欲望」に関する調査データとLINEヤフーのデータを掛け合わせることで、以下のプロセスをワンストップで提供する。この仕組みにより、ターゲットをより深く分類して新たな需要を発見し、広告配信につなげることが可能になる。
DDDは「欲望」を定量的かつ体系的に把握するため、電通が2021年から実施している「心が動く消費調査」を基に因子分析などを行い、人が持つ「11の欲望」を特定した。
これを電通が持つ意識調査データと掛け合わせ、さまざまな「欲望」と商品カテゴリーの関係性を可視化した。戦略立案の際には、このコレスポンデンス分析(※注1)を用いて、どの「欲望」を意識すべきかを事前に特定することが可能になる。
※注1:カテゴリーデータの関係を視覚化する解析手法。カテゴリーデータ間の「距離」を測定し、その関係性を視覚化してデータのパターンや構造を理解することができる。
例えば、スポーツドリンクにおいては、通常「止渇」という機能性が注目されがちだが、「欲望」との関係でみると「繋がり&共感」と親和性があることが分かる。スポーツドリンクの購入には、スポーツを通じたチームワークや貢献などの気持ちが重要であることが読み取れる。また、ヨーグルトを「欲望」との関係でみると、「愛情」と親和性があることが分かる。単なる健康目的の商品ではなく、家族の健康を想う気持ち=愛情が購入動機となっていると言える。
DDDとLINEヤフーの共同チームは、「11の欲望」とLINEヤフーの多様なデータを活用し、LINEヤフーユーザーの「欲望」を予測する機械学習モデルを構築した。これにより、需要創出の根源となる「欲望」起点のセグメントを作成し、Yahoo!広告でアプローチすることが可能になった。「欲望分析」によって該当商品と親和性がある「欲望」を特定し、その「欲望」を持つLINEヤフーユーザーを予測。商品や商材特有のデモグラフィックや興味・関心データを加味した独自セグメントを作成し、Yahoo!広告で配信を行う。
広告配信に必要なクリエイティブ素材は、DDD専属のクリエイターが「欲望」「デモグラフィック」「興味・関心」データを基に、消費者の「欲望」にアプローチするクリエイティブを制作する体制を構築している。将来的には生成AIの導入も検討している。
実際に需要創出に寄与したかを計測するため、「ビュースルー指名検索リフト」(※注2)などをKPIとして効果検証を行う。
※注2:広告配信によって対象キーワードの検索数がどの程度増加したのかを示す指標。
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