日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構は、B2B企業が新製品やサービスを市場に投入する際にマーケティング戦略として検討すべき領域やプロセスを定義した「GTM DMIモデルver.1.0」を公開した。
日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構(以下、DMI)は、主にB2Bの市場開拓戦略において検討すべき項目やプロセスをまとめた「GTM DMIモデルver.1.0」を発表した。GTMは「Go To Market」の略で、市場開拓や市場投入戦略を意味する。
日本マーケティング協会は2024年1月、マーケティングを「顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセス」と定義した(関連記事:「『マーケティング』の定義が34年ぶりに刷新 旧定義との違いは?」)。
GTM DMIモデルはマーケティング組織がこの役割を果たせるよう、社内外のステークホルダーとの議論の共通言語として提供されるもの。「Market & Account 」「Buyer and Value」「Channel and Engagement」の3つのレイヤーで必要情報を収集・整理している。
検討項目はスプレッドシート(.xlsx)形式でまとめられており、DMIのWebサイトから無料でダウンロードできる。今回提供されたのは「ver.1.0」で、今後フィードバックを基に継続して改善していく予定だ。
また、DMIはこのモデルをクリエイティブ・コモンズCC BY 4.0ライセンスの下に提供しており、「©デジタルマーケティング研究機構」のクレジットを表記すれば商用利用もできる。これにより、事業会社のマーケティング部門のみならず、コンサルタントや広告代理店などのパートナー企業でも活用できる。
B2Bマーケティングの領域においては近年ABM(アカウントベースドマーケティング)やCRM(顧客関係管理)、MA(マーケティングオートメーション)などのキーワードが注目されているが、プロモーション領域に偏った手法の議論に陥りがちで、広義のマーケティングである市場開拓・市場投入戦略の本質的な議論が不足しているという課題がある。
このような課題認識からDMIは、マーケティング部門が領域を限定した現場最適ではなく、各部門と連携して本質的なマーケティング戦略を立案・実践することで、新製品や新事業の推進・成功確率を上げ、企業における経営目的を達成する事を目的として、B2Bマーケティング委員会参加企業から幅広く知見を集め、GTMの標準的なプロセスを策定し、広く共有することとなった。
このモデルを活用することで、企業は経営陣、事業部門、マーケティング部門といった組織において共有されるべき必要な情報、(戦略の共通言語)をもって市場開拓・投入計画を策定し、組織間におけるゴールの共有を通して、効率的な戦略立案と施策の実行が可能となる。つまり、論理的な勝ち筋や想定費用対効果を明らかにし、企業における経営資源の配分などの意思決定を支援する。
それぞれの立場で期待される課題解決のイメージは以下の通りだ。
DMIは1999年に日本広告主協会(現:日本アドバタイザーズ協会)ディジタルメディア委員会内の研究会を母体に「Web 広告研究会」として発足。インターネット上の広告展開におけるさまざまな課題について、広告主と関連企業・団体(広告会社、メディアレップ、媒体社、調査会社、システム提供会社など)が共通の場で研究活動を行っている。
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