法令違反になり得る広告商材について、Webメディアでの配信状況はどうなっているのでしょうか。
薬機法、景品表示法、特定商品取引法に基づき広告商材のリーガルチェックを手がけるREGAL COREは、美容効果やダイエット効果の過度な訴求など、法令違反になり得る表現を伴う記事LP(ランディングページ)の広告配信状況に関する調査を定期的に実施しています。このほど同社は2023年に行った調査結果のまとめを公表しました。
1年間を通じた調査で確認された配信が多い広告(重複含む)において法令違反となり得る表現を伴う商材の内訳を分類したところ、最も多く確認されたのは「しみ・しわ」に関する効果を謳う美容健康商材で、22.3%に達しました。次いで、ダイエット効果を過度に訴求する商材(20.5%)、育毛剤(15.2%)、石鹸類(11.6%)と続きました。また、情報商材も7.1%と一定の割合を占めています。
一定量以上の配信が確認された広告商材において、その割合の推移を時系列で分析すると、2023年は美容健康商材が徐々に減少する一方で情報商材の割合が徐々に高まっていることが分かります。ただし年末にかけては男性機能向上を謳う健康食品が多く配信され、美容健康商材の割合が再度高まるなど、時期的要因もみられます。
Webメディアにおける広告では、化粧品やサプリなどの美容健康商材が多く配信されており、これまで薬機法や景表法観点で違反となり得る表現が多く確認される傾向にありました。REGAL COREは法令違反となり得る訴求表現を確認した際には、対象の事業者に対して該当部分の修正や広告の配信停止を求めるなどしており、各事業者の協力もあって、このジャンルにおける違反表現は減少傾向にあるようです。
一方で、先述の通り情報商材の広告は2023年中頃から徐々に増え始めています。情報商材については、内容が複雑化し詐欺被害につながる可能性も指摘されていることに注意です。2023年6月には、情報商材のようなかたちでダイエットやバストアップの方法を無料で提供するという表現でLINE登録を促す広告について、実態としては登録後に高額な商材を購入させるというスキームであるとして、消費者庁から注意喚起がなされています。
また、著名人を無断利用(パブリシティ権の侵害)し、著名人が該当の商材を監修・運用していると誤認させて購買意欲を刺激するような広告も増加しています。これらについては著名人本人からも注意喚起が広く発信され、詐欺被害も報告されていることからWebメディアでの配信は減少傾向にありますが、SNSなどではまだ多くの配信が確認されています。
REGAL COREは今後、従来のWebメディアのみならず、これまで対象とはしていなかった外資系のメガプラットフォーマーなどについても継続的に調査していくと述べています。
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