PCH Mediaのティム・ブラズ氏によれば、ゼロパーティーデータとファーストパーティーデータを優先し、消費者にフォーカスすることが重要だ。
本稿はPublishers Clearing House(PCH)Mediaで最高収益責任者(CRO)を務めるティム・ブラズ氏によるゲスト寄稿である。意見は筆者個人のものだ。
何年にもわたる憶測と度重なる遅延の末に、Googleはついに2024年にサードパーティーのCookieを段階的に廃止する計画を前進させることを確約した。この変化によりデジタルマーケティング環境に激震が走る。Googleは2024年1月4日から、無作為に選ばれた全世界のChromeユーザーの1%についてCookieの削除を開始すると発表している(※)。マーケターは間もなく未知の航海に出ることになり、対応を間違えればスケールや投資収益率(ROI)など、ビジネスに存亡の危機をもたらす差し迫った課題に直面することになる。
しかし希望はある。ターゲティング戦略とアトリビューション手法を再考するマーケターは、Cookieのない時代に成功するだろう。マーケターが継続的な成長を可能にし、進化するプライバシー基準によって定義される未来においてさらに強くなるために、今取るべき3つの重要な行動がある。
※編注:本稿の原文は2024年1月4日公開。
Cookieが廃止されることを見越していた先進的な企業は、GoogleのプライバシーサンドボックスやThe Trade DeskのUnified ID 2.0など、何年も前から独自のターゲティングおよび測定戦略とソリューションを実装してきた。Cookieが完全に廃止される前に複数のターゲティングオプションをテストすることは、マーケターが広告費用対効果(ROAS)を維持し、さらには成長させるための規模と安全性を確保するために必要なことだ。
実ユーザーの利用許諾済みのゼロパーティーおよびファーストパーティーデータを持つ企業、または関連する広告スペースを持つパブリッシャーとターゲットオーディエンスにリーチしたいブランドをつなぐDSPとの提携を検討する手もある。
アプローチの方法はどうあれ、今すぐ準備を始めることが重要だ。なぜなら、マーケティングのエコシステム全体の中で多くの企業がテストの開始をギリギリまで先延ばししてきたからだ。今こそ遅れを取り戻し、将来の成功に向けた基礎を築くための長期的な戦略を立てて実行するときだ。そうしなければ後手に回ってしまうリスクが生じる。
コアオーディエンスをターゲティングするのにサードパーティーのCookieを利用できくなることで、マーケターはゼロパーティーデータ(消費者が自発的かつ積極的に企業と共有する情報)とファーストパーティーデータを優先して、ターゲティングとROASの目標を達成しなければならない。そのためにも既存顧客や見込み客とのエンゲージメントを維持し、ブランドロイヤルティーを守る必要がある。透明性のあるデータ収集方法を守り登録ユーザーから許可を得て得られたゼロパーティーデータを提供するデータプロバイダーと提携しよう。そうすることで、顧客からの信頼を得て、ブランドの評判を守ることができるだろう。
また、マーケターはキャンペーン戦略におけるサードパーティーCookieの役割を置き換えるために、ゼロパーティーデータとファーストパーティーデータの独自のデータベースを構築することを検討すべきだ。オプトインした消費者とのリード生成キャンペーンを提供するパブリッシャーと提携することで、カスタマイズされた独自のデータセットを得られる。
これらの戦略により、マーケターは業界がいかに変化しようとも、実際に関連性の高いオーディエンスを正確にターゲットにし、つながりを持つことができる。
消費者はマーケターにとって常に最優先であり、消費者のニーズを優先させることは、Cookieレスの新しい戦略を実施する際に特に重要だ。消費者の嗜好を考慮しないマーケターは、特にデータの透明性に関してビジネスを失うリスクがある。PCH Consumer Insightsの最近のレポートによると、25歳以上の米国人の58%は、データに関して評判の悪い企業とのやりとりをやめたいと考えている。
自発的に情報提供するかAppleのApp Tracking Transparency(ATT)フレームワークを介してトラッキングをオプトアウトするかは消費者の手に決定権が移りつつあり、この傾向は今後も拡大し続けるだろう。ブランドのマーケターは、信頼とロイヤルティーを構築するために、透明性のあるデータ収集ポリシーを優先し、顧客が自分のデータをコントロールする方法を理解できるように努めなければならない。
多くの不確定要素があるが、1つだけ確かなのは、Cookieの廃止が近いうちに現実のものになるということだ。マーケターはできるだけ多くのソリューションをテストし、独自のデータを収集し、信頼できるデータとアイデンティティーソリューションを提供するパートナーを選択し、データの透明性を優先するなどの行動を、今すぐ起こさなければならない。ゼロパーティーデータとファーストパーティーデータは今後、効果的なターゲティングと計測の原動力となり、直ちに対策を講じるブランドは2024年以降も成功を収められるだろう。
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