主要モバイルアプリの利用トレンドをまとめた「2024年版モバイル市場年鑑」がリリースされた。その中から注目すべきトピックスを紹介する。
モバイルアプリに費やされる金額は年々大きくなっている。一方、ユーザー自身がそれほど多くの更新を投稿していなくても、ソーシャルメディアにより多くの時間を費やすようになっている。
これらはdata.aiの最新レポート「2024年版モバイル市場年鑑」の調査結果の一部だ。このレポートでは、各消費者カテゴリーのアプリが2023年にどのような実績を残したかを示し、これらのアプリが今年どこに向かうかをdata.aiチームが予測している。103ページに及ぶレポートから幾つかのハイライトを紹介する。
同レポートはまず、モバイルアプリへの依存度がますます高まっていることに注目している。2023年にユーザーがモバイルに費やした時間は1人当たり1日平均5時間で、2022年から6%増加している。
ソーシャルメディアアプリはこの大部分を占めており、総消費時間も、以前より遅いペースではあるが増加している。
ユーザーの行動が変容し、個人的な近況をソーシャルアプリに投稿することから徐々に遠ざかっていることを考えると、これは興味深い結果だ。
さまざまなレポートによると、ソーシャルフィードへの投稿は減少し、DMへのエンゲージメントが増加している。つまり、ソーシャル(メディア)に費やす時間は増えているが、その時間の多くは、従来私たちが「ソーシャル」と見なしてきた活動とは対照的なエンターテインメントに費やされていると見られる。
アプリへの支出は増加傾向にあり、2023年にはゲームを除くアプリへの消費者支出が600億ドルを突破する(前年比65億ドル増)。成長の原動力となったのが、エンターテインメントとソーシャルメディアだ。
グラフが示すように、「エンターテインメント」と「ソーシャルメディア」への支出は、視聴者を収益化する新しい方法を導入するプラットフォームが増えたため、年間を通じて大幅に増加した。
この分野のリーダーは明らかにTikTokだ。
data.aiは以下のように説明している。
TikTokはゲームも含め消費者支出額が100億ドルに達した史上初のアプリだ。このマイルストーンは、ほんの数年前までは不可能に思えた。ゲーム以外のアプリで、消費者支出が10億ドルに達するには10年近くかかった。TikTokは現在、四半期ごとに消費者支出が10億ドルを突破している。
同レポートは、TikTokのアプリ内課金収入の大部分が、ライブストリーム中にクリエイターへのチップとして使用できるコインによるものだと指摘している。
この行動をTikTokがまだインストリームショッピングに融合させることができていないのは興味深いことだが、全体的な収益化のパフォーマンスを考えると、TikTokがこれを拡大し、アプリ内でより多くの支出をするユーザーを増やしたいと考える理由が分かるだろう。それが実現できれば大きなチャンスとなる。
欧米市場で「全部乗せアプリ」になりそうなものがあるとすれば、それはTikTokだろう。中国のアプリの影響力を懸念する人々にとっては警戒すべき事態になるのは間違いない。
レポートは市場別のソーシャルアプリのトップパフォーマンスも紹介している。こちらも圧倒的にTikTokが強い。
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