Xが公開した2024年版開発ロードマップの中身について解説する。
Xの2024年に向けた開発ロードマップの中には、決済サービス、AIによる改善、オリジナルコンテンツ、広告の改善といったテーマが含まれる。前回に引き続き、今回もXの計画について紹介する。
「Xが公開した2024年版開発ロードマップの現実味は?」で述べた通り、Xは現在、自らを“ビデオファーストプラットフォーム”と呼んでいる。これは、2024年に向けたXのロードマップ(外部リンク/英語)の新しい概要から明らかになったことの一つだ
Xはそのためにより多くのオリジナルコンテンツを必要としており、元Fox Newsのタッカー・カールソン氏、元CNNのドン・レモン、スポーツコメンテーターのジム・ローマ氏などのテレビスターとの新たな契約を通じて投資も行っている。
Twitterの時代も同社は何度もテレビのようなコンテンツを取り入れようとしたが、成功は限られたものだった。
概念的には、Twitter/Xはライブディスカッション番組と最も相性の良いアプリであるため、それと融合することは理にかなっている。しかし、Twitter時代はさまざまなメジャースポーツリーグと独占契約を結び、独自のテレビチャンネルになろうとしていたものの、そのUIに「セカンドスクリーン」の動作を融合させることはできなかった。
それでも、そこにはまだチャンスがありそうだ。ソーシャルアプリが補助的なディスカッションのプラットフォームではなくそれ自体がエンターテインメントの発信源となる時代において、Xはそれを実現するためにとても良いポジションにいるのかもしれない。
第一弾として挙がったスターたちのリストはさほど刺激的なものではなかったが、彼らはそれぞれ何百万人ものファンを持つカルト的な存在だ。
今回のパートナーシップがうまくいけば、Xに多くのタレントを引き寄せる可能性がある。また、X はゲーム配信やライブストリームの実験も続けている。
XはAIを活用して広告システムを向上させ、広告の配信において関連性を最大化することを目指している。加えて、動画コンテンツを中心に広告プロセスを再構築し、さらにはブランドセーフティーを強化しようとしている。
イーロン・マスク氏による改革以降、多くの広告主がXから撤退したり広告費を削減したりしている現状、最後に挙げたブランドセーフティーは大きな焦点となるだろう。
しかし、現在の広告主の憂慮の多くは、意見の分かれるような問題に対してマスク氏自身が公的発言を繰り返していることに起因している。マスク氏はしばしば誤った情報に踊らされ、全ての事実を確認することなく即座に状況を判断する傾向がある。そのため、マスク氏は度々ホットなトピックスについて事実と異なる主張を展開している。
選挙の年となる2024年、この傾向が悪化する可能性は高い。マスク氏はすでに共和党候補の支持を表明し、特定の問題に自分自身を巻き込もうとさえしている。マスク氏は、金がかかろうがかかるまいが自分の望むことを言い続けるつもりだと繰り返し述べている。しかし、実際にそのコストをより多く負担することになるのは、マスク氏自身ではなくXの方だ。
本質的に、Xは広告パートナーが広告費を預けるに足るような信頼ある有用なプラットフォームであることを納得させるという、大きな課題を抱えている。しかし、より多くの人々にアプリを使ってもらうことができれば、広告主は付いてくるだろう。
マスク氏のXプロジェクトには多くの疑問があり、未解決の問題が山積している。一方で、新しい取り組みの多くも、大きな課題に直面するだろう。
だが、もしかするとマスク氏は本物の天才かもしれない。マスク氏は4Dチェスのゲーム(※)を解こうとしていると一部の人は信じているが、これが実際に実を結べば、ある時点でXはしきい値を超え、再びより現実的なプラットフォームになるかもしれない。
※編注:一見理解しにくく複雑で予測が難しい問題を解決する計画を指す比ゆ的な言い回し。
本当にそうなのかはまだ分からない。マスク氏は評判が悪い改修を実施し続け、Xにとって何が最善かではなく、悪意と不安に基づいて行動しているからだ。
しかし、もしかしたらマスク氏には、他の誰にも見えない、ある種の先見の明があるのかもしれない。
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