2024年、マーケターを取り巻く環境は目まぐるしく変化している。これから何が起こるのか。「Marketing Dive」による8つの予言のうち1つ目と2つ目を紹介する。
夏季オリンピックや米大統領選挙などイベント満載の2024年、さまざまな局面でマーケターはエンゲージメント獲得の腕が試されることになる。
「Maketing Dive」は、2024年のトレンドとして以下の8つを予言している。
本稿では、このうち1と2について紹介する。
社会の分断が進む2024年、マーケターは一般的な感情への訴求を磨き上げ、共有された人間性を含むテーマに焦点を当てることで、消費者の心をつかむかもしれない。これらの取り組みは、近年見られたパフォーマンスマーケティングへの過度な修正に対処する動きに沿ったものとなるだろう。
広告代理店Brownstein Groupでブランド戦略担当バイスプレジデントを務めるアン・ライアン氏は「コロナ禍では非常に賛美的な広告が多く見られ、その後、ブランドはより機能的なメッセージにシフトしていった。今は中庸に戻っている」と語る。
2023年の飛躍的な成功を振り返ることも有効だろう。ポップカルチャーを席巻したMatelの「バービー」は、進歩的でフェミニスト的なメッセージと観客を楽しませるコメディーのバランスが絶妙な映画となった。この作品の興行的大ヒットは、インテリアから時計に至るまで、めまぐるしいタイアップの数々によって後押しされ、エンターテインメントマーケティングには幅広い魅力があることを示した。
カルチャーエージェンシーのCashmereでCMOを務めるロナ・メルカド氏は「昨今では、具体的であることが広範さにつながる。『バービー』はそれを見事に証明した。特定の、つまり微妙な違いを持つグループに対してマーケティングを行うことができれば、それが徐々に影響を及ぼし、拡大していく。これは皆にとっての学びとなった」と語る。
2024年を迎える直前、 Interpublic GroupはHill HollidayとDeutsch New Yorkという2つの象徴的な代理店を比較的新興のAttivo Groupに売却した。この驚きの取引は、Wunderman ThompsonやVMLY&Rなどのレガシーブランドの合併があった困難な年を経て、広告持株会社がポートフォリオをさらに縮小する可能性があることを示している。その一方で、2023年にカンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルの3部門でグランプリを獲得したGutがテクノロジーサービス企業のGlobantに買収されるなど、有望なインディーズ企業がブティック市場縮小のトレンドに飲み込まれつつある現実もある。
アナリストによれば、成長に向けた戦いにおいて、代理店は2024年に2つの道を進むことになる。一つは、リテールメディアなどの収益性の高い人気分野にさらに特化するためにレイヤーをはがすこと、もう一つは、ブランディングとパフォーマンスの職務をバランスよく提供するフルサービスへと業務を拡大するためにアクセルを踏むことである。
調査会社Forrester Researchのバイスプレジデント兼主席アナリストであるジェイ・パティサル氏は「精度と説得力、あるいはブランドとパフォーマンスマーケティングは衝突してきたが、それらはより一体になりつつある」と語る。
代理店のアイデンティティーがより流動的になるにつれて、超コネクテッドな世界では「デジタル」をめぐるポジショニングは消えていくだろう。この分野に立ちはだかるのは、生成AIがもたらすリスクと潜在的な報酬だ。生成AIは2024年に新たなビジネスを呼び起こすだろうが、同時に少なくとも1つの大きな失敗を招き、その後代理店は再評価されるだろう。
「ある時点で運は尽き、AIの大混乱が具現化するだろう。多くのマーケテターは、すぐに現在の代理店に相談に行き、多くの質問をし始めることになる。質問が増えれば評価も増える可能性がある」とパティソール氏は語った。
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