ヒットとルグランは、気象データを活用し、天気によって変わる人の気持ちに寄り添った屋外広告を掲載する仕組みを開発した。
デジタルマーケティングのコンサルティングサービスを提供するルグランは2023年10月17日、DOOH(デジタル屋外広告)を取り扱う広告会社のヒットと共同で、気象連動型屋外サイネージ広告サービス「HITウェザー」の提供を開始した。
HITウェザーは、ヒットが保有する屋外DOOH媒体(東阪の繁華街やロードサイドに設置された6つのデジタルサイネージ)とルグランの持つリアルタイムの気象データを反映可能なデジタル広告運用テクノロジーを組み合わせ、その場所の天気に応じた広告を掲載するものだ。
富士キメラ総研「デジタルサイネージ市場総調査 2023」によれば、国内デジタルサイネージ市場は2022年時点で1992億円、2027年には3294億円規模に成長すると見込まれている。とりわけ広告市場はこの間に倍増すると見られている。
近年はDOOHの進化が目覚ましく、運用型での出稿が可能になったり効果測定技術を売りにしたサービスが登場したりしている。しかし、一つの画面を不特定多数の、しかも主に移動中の人が視聴するという媒体の性質上、広告接触者一人一人の属性や興味・関心を反映するのは難しい。この点はスマホやPCにおけるデジタル広告とDOOHの大きな違いと言える。
ルグラン共同代表の泉浩人氏は「DOOHで注目してもらうためには、視聴する人に対して最適なタイミングで、必要な情報やメッセージを表示する仕組み作りが重要。天気に応じた広告で人々の気持ちに寄り添い、最適な行動を促す発信が可能になる。また、多くの人に注目してもらえるようなクリエイティブの工夫も不可欠」と語る。
HITウェザーでは、例えば自動車メーカーの広告を掲載する場合、晴れの予報が出た日には快適なドライブの提案を、雨の予報が出た日には近くのショールームに誘導するといった形でクリエイティブを切り替えられる。
ルグランはこれまでにも気象データを活用したファッションテックサービス「TNQL」や気象連動型広告配信ツール「weathermarketing.net」を提供してきた。泉氏は「天気予報は過去データでなく近未来の情報。予測に応じた体験や商品・サービスを提案できれば、新しい広告アプローチ手法の確立につながる」と、気象上データ活用の意義を語る。
今後は屋外の大型サイネージだけでなく屋内用のサイネージに向けたサービスの展開も視野に入れている。そちらは例えば調剤薬局の店頭で、その日の気圧に応じた頭痛注意報のようなコンテンツを出して製薬会社の販促につなげるといった使い方を想定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.