Metaが広告なしの有料プラン導入を検討しているようだ。Facebookだけでは月額約14ドル、FacebookとInstagramの両方をカバーする場合は月額約17ドルとなる見込みだ。
Meta Platforms(以下、Meta)が「Facebook」と「Instagram」の双方に広告なしのサブスクリプションを提供する可能性を模索しているという最近の報道を踏まえ、Wall Street Journal(以下、WSJ)は、MetaがEU当局に提出した提案書に基づいてこれらの新しいオプションの価格案を詳述した。
Metaが広告なしのオプションを提案するきっかけとなったのは、欧州連合(EU)におけるデータプライバシー規制の進展だ。規制強化により、ユーザーの行動履歴に基づくパーソナライゼーションを強みとするMetaは大きな制約を受けることになる。2024年2月に全面施行されるEUデジタルサービス法(DSA)によって、多くのEUユーザーが行動のトラッキングを選択しなくなると考えられるため、Metaは代替案としてEUで広告なしのサブスクリプションを認めることを検討したというわけだ。有料課金とすることで、Metaは最適なユーザー体験(つまり、ユーザーに無関係な広告が表示されない)を実現しながらサービスを提供し続けることが可能になる。
言い換えれば、Metaはユーザーにターゲティングされていない広告を表示することでユーザー体験が低下し、SNSの利用率自体が下がることを懸念している。そのため、広告なしプランの追加は、ビジネスモデルの根本的な転換につながるものであっても、良き代替案になる可能性がある。
WSJ(外部リンク/英語)は、広告なしのFacebookの月額料金が約14ドル、FacebookとInstagramの両方をカバーするための月額料金が約17ドルになると予測している。
いささか高いように見えるが、それでも一部のユーザーは間違いなく支払うだろう。Metaはそれを基礎として、より最適な広告なしバージョンのプランを展開できる。
このようなサービスの価格設定における主な課題は、Metaが毎月のコスト設定によって収入に上限を設けながら収益の可能性を最大化し続けていかなければいけないことだ。
例えば、直近の業績発表(外部リンク/英語)によると、MetaはFacebookでの広告露出だけで現在、EUユーザー1人当たり四半期に17.88ドルを生み出している。
これは、ユーザーがFacebookの広告を見ることをオプトアウトする場合、Metaが1ユーザーあたり月額約6ドルの代替収入を必要とすることを意味する。一方、Metaは広告なしオプションにどれだけのユーザーが登録し、どれだけの期間価格設定を安定させるかによって、月額課金が将来的に広告から得られる収益にどのような影響を与えるかを検討する必要がある。
しかし、それにしても月額14ドルはいささか高いようだ。おそらくMetaは高値から始めて、それがどのような反応を得るかを見ようとしている。あるいは逆に、これらの要素を全て考慮に入れて、現在の価格よりも高い価格につながる可能性もあるが。
いずれにせよ、それは大きな問題だ。広告なしのFacebookとInstagramが年間200ドル? あなたはそれを支払うか?
繰り返しになるが、他のソーシャルメディアサブスクリプションパッケージが示したように、少なくとも一部の人々は支払うだろう。おそらくDSAシフトの結果、Metaはこれを推進力として、より有益なサービスとして宣伝できる。一方でユーザーは月額料金を支払うことで、気が散る宣伝や有料の政治キャンペーンから人々を解放される。
Metaはこれを「Meta認証」パッケージに統合するか、幾つかの追加要素を組み込むことによって、もっと甘い条件を提示する必要があると思う。
Xのオーナーであるイーロン・マスク氏が予測した通り、SNSにサブスクリプションパッケージが拡大しているのも興味深い。マスク氏はAIによりbotの作成プロセスがますます洗練しつつあり、実際のユーザーに課金し始めない限り、プラットフォームが偽物を取り除くことは最終的に不可能になると予測している。
今回のケースは正確にはそうではないが、それでも、さまざまな要因がサブスクリプション提供の拡大を促している現在、この予測はある程度妥当性があるように思える。
実に興味深い動きだ。
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