「Threads」を出オチで終わらせないMetaの取り組み 鍵になるのはセレブ、インスタ、イーロン・マスク氏Social Media Today

ロケットスタートから一転して成長にブレーキの掛かったMetaのリアルタイムSNS「Threads」。再活性化のためにMetaはあの手この手で対策を打ち出しているが……。

» 2023年10月10日 11時00分 公開
[Andrew HutchinsonSocial Media Today]
Social Media Today

 Meta Platforms(以下、Meta)は、X(旧Twitter)風のリアルタイムSNSである「Threads」の進歩に満足していると度々表明している。だが、最新レポートによると、Meta経営陣はThreadsの成長鈍化を懸念していることが示唆されている。

「ポストX」への長い道のり

 リリース後わずか5日で1億人のユーザーに達した後、Threadsは3カ月でさらに3200万人のプロファイルしか獲得していない。 一方で、Threadsの使用量は急激に減少し、7月のピーク時には1日1ユーザー当たり21分であったのが、現在はわずか6分に低下していることがサードパーティーの分析(外部リンク/英語)により示唆された。 ちなみに2023年年5月にイーロン・マスク氏は、Xユーザーが同社のアプリで1日当たり約31分を費やしていると報告している。

 Threadsはまだ開発中であり、成長に波があったり解約されたりするのは常に起こり得ることではある。それでもMetaは、初期の話題を取り戻してより多くの人をアプリに駆り立てるための新しい方法を探している。

 Webメディア「The Information」(外部リンク/英語)は、Metaがより多くのエンゲージメントを促進するために現在、より知名度の高いクリエイターがに頻繁に投稿してもらうことを目指している。

 The Informationには以下のような記述がある。

今月、Threadsを作ったInstagramは、Threadsをより魅力的にするにはどうしたらよいかを知るために、クリエイターと複数のフォーカスグループを開催する予定だと、状況を直接知る人物が語った。メディア企業やクリエイターとの広告以外の契約を扱うInstagramのパートナーシップ部門は、新しいクリエイターをThreadsに参加させ、既存のクリエイターを引きとめることを目標に設定していると、その人物は語った。

 Threadsへの関心を喚起するためにさまざまな著名人を採用するというのは、Metaの当初の成長戦略に沿ったものだが、オプラ・ウィンフリーやダライ・ラマを含むアーリーアダプターは、ローンチ以来明らかにThreadsから遠ざかっている。そこで、Metaはより影響力のある人々を再びアクティブにするために新たなプッシュを開始しようとしている。

 しかし、クリエイターに依頼しているという事実は、あまり良い結果をもたらさないかもしれない。MetaはThreadsの成長戦略を明確にしていたように思えたが、もしかしたら、当初思われていたほどアイデアの幅はないのかもしれない。

 Threadsへの関心を高める手段として、MetaはInstagramのリーチを利用することも考えている。実際、Threadsのトレンドディスカッションをインフィードでアラートしたり、ユーザーにThreadsアカウントを登録するよう促したりしている。

 また、Instagramのプロフィールページにユーザーの最新のThreads投稿を表示する新しい見せ方もテスト中だ。これは、Threadsへの関心を高めるのに役立つ可能性がある。

 この他、Threadsは現在、フィードから新しいユーザーと関わる人を増やすために、新たに「First thread」通知をテストしている(外部リンク/英語)。

 Metaにはこのように、Threadsの露出を高めるために引くことのできるレバーがまだある。とはいえ、今のところThreadsの活性化を促進するようなものは多くないようで、真にXのライバルとなるつもりなら、Metaはもっと思い切ったアプローチの変更を迫られるかもしれない。

 初期に1億のサインアップを獲得できたのだから、間違いなくチャンスはある。もちろん、それはMetaがThreadsをInstagramアカウントにリンクさせてThreadsのプロフィール作成を簡素化したからこそできたことではある。 しかし、イーロン・マスク氏が分断を招くような発言をしたりXが仕様変更でユーザーの不評を買ったりする度に、代替プラットフォームへのサインアップは急増している。そうした中で、Threadsは今のところ最もアクティブであり、Metaの恩恵もあって最も有力な候補であるように見える。

 Threadsが改善すべき点は他にもたくさんある。 InstagramのCEOであるアダム・モッセーリ氏は、投稿の編集が可能になることと独自APIの提供を予告している。これにより、パブリッシャーからのThreadsアクティビティーのスケジューリングと拡張が可能になる。

 一方、アルゴリズムもInstagramのそれを使用するのではなく、Threadsでのエンゲージメントに特化したものに調整する必要がある。なぜなら、ユーザーがそれぞれのアプリでフォローする人物やプロフィールはおそらく全く異なるものであり、今のところThreadsはユーザーに最も魅力的な提案をインストリームで見せられていないからだ。

 これらの改善はいずれも進んでいるが、少なくとも現時点ではMetaが望んでいるような上昇トレンドの兆候は見られていない。

 多くの人々がXに代わるものを求めている一方で、ニュース速報やリアルタイムの出来事を追うには依然としてXがベストなアプリであることに変わりはない。スポーツやテレビ番組などについてのディスカッションは、Twitter時代の方がはるかに活発ではあったにしてもだ。

 Threadsが大化けするチャンスはあるが、その道は容易ではない。Metaが問題を解決してユーザーとのエンゲージメントを最大化できるか、あるいはメタバースやAI、さらに次の大きなプロジェクトに集中するために、最終的にThreadsから興味を失うのか、興味深いところだ。

 個人的には、Threadsが数あるソーシャルメディアの中で居場所を見つけることは可能だと考えているが、Xの代替となれると言い切る自信はあまりない。Xは、欠点はあるにせよ、多くの点で確立された地位を確立している。だからこそイーロン・マスク氏の立場が失われることはない。ただし、Xに対する彼の意思決定次第では、事情が変わる可能性もある。もしかしたら、それこそがMetaが待ち望む本当のアプリ移行のきっかけなのかもしれない。

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