ビールブランドのHeineken(ハイネケン)がブラジルの消費者をターゲットにコアゲーマー向け施策を発表。これは、冗談ではない。
Marketing Diveに伝えられた情報によると、Heinekenブラジル法人はPublicis Groupeの広告会社LePubのブラジル法人と共同で、ビール用冷蔵庫としても機能するゲームミングPC「TH3 G4M1NG FR1DG3」を発表した。この名称はリートスピーク(英語の単語を数字や特殊文字に置き換えて表現するネットスラング)で「THE GAMING FRIDGE(ゲーム用冷蔵庫)」を意味する。
Heinekenは従来の広告にとどまらず、ハードウェアという複雑な領域にまでゲーム戦略をレベルアップさせようとしている。PCゲーマーはゲームコミュニティーの中でも最もハードコアな存在だ。PCゲーマーは、XboxやPlayStationのようなコンソールを小売店で購入するのではなく、PCを部品一つ一つから組み立てる。組み立てには高度な技術的ノウハウを必要とするし、高価な部品を使用することも多い。
HeinekenとLePubは、マニアが既にビール冷蔵庫を取り付けたPCを作っていることに気付いてから、LePubのLeGarageイノベーションユニットと共同でこのニッチな領域をターゲットにしている。この企画はHeinekenが2023年3月より展開する「Not All Nights Out are Out(夜遊びとは外出することだけではない)」という大規模キャンペーンの一環で、ゲームのようなインドアな趣味を社交の場と捉え、Heinekenを飲む機会を創造することに焦点を当てている。
「私たちは、ほとんどのブランドが考慮しないようなゲーマー層、つまりPCゲーマーと手を組みたかった」。LeGarageのエグゼクティブクリエイティブディレクターでありリードエンジニアを兼任するアンドレイ・チュカフキン氏はこう話す。「PCゲーミングコミュニティーの中で、私たちは『モッダー』の文化を尊重したかった。モッダーとは、自分のマシンを改造してデザインやアーキテクチャをカスタマイズし、そのスペックやユニークな外観をお互いに自慢し合いながら交流する人たちのことだ」(チュカフキン氏)
TH3 G4M1NG FR1DG3は、多くのPCが熱暴走を回避するために冷却システムを内蔵する必要があるという事実を利用している。LeGarageは、低温を維持できる特注の冷却システムを作り、ハードウェアを損傷する可能性のある結露を防ぐために強制空気循環を適用した。この冷蔵庫は、Heinekenの製品群の中で重要な位置を占めるようになっており、ゲームイベントでも存在感を示しているノンアルコール飲料「Heineken 0.0」用のものだ。
HeinekenはTwitchの人気クリエイターであるガウレス氏と協力し、このハイブリッド発明の認知度を高めようとしている。また、ブラジルのゲーム業界の主要イベントでこのデバイスを宣伝しており、2023年後半に開催されるブラジル最大の「League of Legends」大会「CBLoL 2023」の優勝チームに贈られることになっている。。
今回の取り組みを含むNot All Nights Out are Outキャンペーンは、Heinekenにとって主要市場の一つであるブラジルでのさらなる成長計画を補完するものだ。同社は2023年5月、プレミアムビールとシングルモルトビールの提供拡大のため、この地域に3億ドルを投資している。
TH3 G4M1NG FR1DG3は高度な性能を備えており、Heinekenはプレスリリースで、GPU、プロセッサー、マザーボードなどのパーツの技術仕様を公開している。なお、ゲームのハードウェア領域への参入はHeinekenが初めてというわけではなく、KFCが2021年に「KFConsole」と呼ばれるビデオゲーム機を発売している(外部リンク/英語)。こちらは食べものを温めるための「チキンチャンバー」が内蔵されていた。
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