生活者1万人を対象とした「2021年度 ESG/SDGsに関する意識調査」の結果、「ESGレピュテーション」を最も獲得しているのは飲料業界であることが分かりました。
電通PRコンサルティング(2021年9月20日に電通パブリックリレーションズから改称)内の研究組織である企業広報戦略研究所(以下、C.S.I.)は、2021年6月末、生活者1万人を対象とした「2021年度 ESG/SDGsに関する意識調査」を実施しました。
今回の調査では、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を表す「ESG」にフォーカス。ESGを知っているかを聞くと「詳しく知っている」「聞いたことはある」の合計が33.1%と、前年比約10ポイント増加しています(関連記事:「SDGsの取り組みが認知されると、生活者の7割が行動を起こす――電通PR調査」)。
今回は企業のESGに関する取り組みの中でも、特に企業広報として生活者などステークホルダーに伝えるべき24のESG項目に着目。生活者に「積極的に取り組んでいる」と感じられている項目を測定し、「ESGレピュテーション」として算出しました。
業界別で見ると1位が飲料業界(1万147ポイント)、2位が鉄鋼・重機業界(9636ポイント)、3位が損保・生保・商社業界(8918ポイント)という結果になりました。
1位の「飲料」業界のESG構成比を見ると、「環境」の割合がトップであり、ボトルのリサイクルなど、生活者が認知しやすい取り組みを積極的かつ効果的に発信できていることが要因の一つだと考えられます。一方、3位の「損保・生保・商社」業界は「社会」と「ガバナンス」の割合が大きく、生活者への説明責任や消費者保護などが強く求められる業界の特徴が表れた結果ではないかと推察されます。
次に、生活者が企業に対して「積極的に取り組んでいる」と感じるESG24項目をランキングにして見ると、1位は「社会」の「消費者にとってわかりやすい表示・説明」(26.2%)でした。2位も「社会」の「従業員にとってわかりやすい表示・説明」(23.9%)、3位は「環境」の「リサイクルなど資源の有効活用」(23.4%)が入りました。
ESG24項目について、株式の保有状況別で「積極的に取り組んでいる」と感じる項目の認知状況の違いを見ると、全ての項目において株式保有者の方が非保有者よりも、企業に対して「積極的に取り組んでいる」と感じる割合が高いことが分かりました。さらに、株式保有者の中でも、「月に1度以上取引(売買)している人」と、「月に1度未満取引(売買)している人」に分けて見てみると、「月に1度以上取引(売買)している人」の方がより高くなっています。
ESGに無関心な企業は生活者からも投資家からもダメ出しされるとなれば、まさに経営にとって死活問題。正しいふるまいと、それを正しく伝えるコミュニケーションの重要性がますます高まっていくのは間違いありません。
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