パナソニック山口有希子氏×シンフォニーマーケティング庭山一郎氏 営業に貢献するB2Bマーケティングを語るコロナ禍こそチャンス

世界に比べて遅れる日本のB2Bマーケティング。どうすればビジネスの成長に貢献できるのか。日本のB2Bマーケティングをけん引するトップランナー2人がセールスフォース・ドットコム主催の「Connections to You」で語り合った。

» 2021年09月15日 08時00分 公開
[冨永裕子ITmedia]

 2021年9月9〜10日、セールスフォース・ドットコムはオンラインイベント「Connections to You」を開催した。初日には「日本のマーケティング & セールスDXを阻むもの」をテーマにしたパネルディスカッションが行われ、シンフォニーマーケティング代表取締役の庭山一郎氏とパナソニック コネクティッドソリューションズ社常務の山口有希子氏が登壇した。

左から庭山氏と山口氏、モデレーターを務めたセールスフォース・ドットコム副社長の古森茂幹氏

コロナ禍はB2Bマーケターにとって追い風

 「日本におけるB2Bマーケティングは欧米先進企業より10〜15年も遅れている」。庭山氏は2020年8月に上梓した著書『BtoBマーケティング偏差値UP』(日経BP)をはじめ、さまざまなところで日本のマーケティングの危機的な状態を訴え続けてきた。

 ツールの普及状況だけで見れば、早い企業はリーマンショック後、遅い企業でも現在から2、3年前にはMA(マーケティングオートメーション)を導入してはいる。運用のための専任チームを設置した企業も多いだろう。しかし、それらが売り上げには貢献できているかといえば、残念ながら必ずしもそうではないようだ。

 山口氏は同書の帯文に「マーケ部門だけでは会社は変われない」とコメントを寄せている。それは山口氏自身の実感でもある、課題の本質を山口氏は「横のつながりを作るカルチャーになっていないこと」と喝破する。良いものを作って営業すれば売れた時代に、マーケティングは必要なかった。しかし、顧客の行動が変わったことで、マーケティングは全ての企業にとって不可欠なものになった。

 いまやB2CだけではなくB2Bのビジネスでも、データを基に顧客の行動変容を捉えていろいろな施策を展開しなければならない。カスタマージャーニーを分析し、仮説を立ててPDCAサイクルを素早く回す――。言うだけなら簡単だが、これは一筋縄では行かないチャレンジだ。

 一方で、この状況はチャンスでもあるというのが庭山氏の見立てだ。変化のスピードはコロナ禍で加速した。リアルのイベントを開催できないなど、顧客接点の確保が急務の課題になった。これまでB2Bマーケターは組織を作りMAを導入しても、肝心の営業や代理店からなかなか評価してもらえなかった。それがいまでは営業部門がマーケティング部門に頼らざるを得ないようになっている。「経験したことのない追い風が吹いている」と庭山氏は語る。

MQLよりSALを重視すべし

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