カンヌライオンズ3冠のバーガーキング「Whopper Detour」キャンペーンを支えたBrazeとは?日本に本格進出(1/2 ページ)

「Forbes」が選ぶ未上場の有望なクラウド企業トップ100社「Forbes Cloud 100」に3年連続選出されたBrazeが日本に本格進出。同社が提供する統合型カスタマーエンゲージメントプラットフォームとはどのようなものか。日本法人代表に聞いた。

» 2020年12月22日 10時00分 公開
[指田昌夫ITmedia]

 バーガーキング(Burger King)にとって、世界最大のハンバーガーチェーン店であるマクドナルド(McDonald's)は永遠のライバルだ。故にバーガーキングは広告キャンペーンにおいても、マクドナルドへの対抗心をむき出しにした施策をしばしば展開することで知られる。何十年も続く両社の争いを米国では「Burger Wars」と呼ぶ人もいる。その最新版が、「Whopper Detour(ワッパーの回り道)」だ。

ライバルに奪われそうな顧客を今すぐ取り戻す

 街を歩いていてマクドナルドの半径200メートル以内に入ると、スマートフォンにインストールしたバーガーキングのアプリからプッシュ通知が届く。そこにはバーガーキングの看板商品である大きめハンバーガー「ワッパー(Whopper)」が1セント(約1円)で買えるというオファーが提示されている。アプリを起動すると、そのクーポンが使える最寄りのバーガーキングの店舗への道案内が始まる。ナビに従ってバーガーキングの店舗に来て「着いた」ボタンを押すと、注文が完了――。まさに、究極のリアルタイムマーケティングというべきものだが、このキャンペーンは単に奇をてらった施策ではない。単に1円のクーポンをばらまくことと違い、ハンバーガーが食べたい人に、しかも競合に奪われそうなタイミングでクーポンを送ることで、モバイルによる売り上げは3倍に増加したのだ。

 モバイルアプリによって顧客の位置情報を取得し「情報包囲網」を作ってターゲットに訴求するこの施策に、ややもすると「お行儀が悪い」印象を抱く人もいるかもしれない。だが、バーガーキングの顧客に喜ばれアプリ利用を大幅に増やす効果があったことは間違いない。このキャンペーンは、世界的な広告賞であるカンヌライオンズ(Cannes Lions Festival)おいても高く評価され、ダイレクト部門、モバイル部門、そして最も先進的なクリエイティブを評価するチタニウム部門でグランプリを獲得している。

 このWhopper Detourの裏側に走る仕組みをSaaS型で提供しているのが、CX(顧客体験)プラットフォームの領域で急成長を遂げているBrazeだ。同社は「Forbes」が選ぶ未上場の有望なクラウド企業トップ100社「Forbes Cloud 100」に3年連続で選出されている。2020年11月にはジャパン・クラウド・コンピューティングと合弁で日本法人を設立した。

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