「Marketo Engage」とSalesforceの両方を使う人々が集うコミュニティー「SFKETO(セフケト)」メンバーが、MAとSFAの連携をテーマに語り合った。
アドビに買収される前の旧マルケト時代から、「Marketo Engage」の日本におけるユーザーコミュニティーは活気にあふれていることで知られる。ユーザー自身が積極的にコミュニティー運営に関わり、現在も年2回、アドビの関与なしでイベントを開催している他、普段でも2100人以上の参加者がオンラインで集い、情報交換を行う。
分科会活動も盛んで、業種別あるいは共通の課題を抱えるユーザー同士が勉強会などを開催して知識を深めている。「SFKETO(セフケト)」は11ある分科会の中の1つだ。ここではMarketo EngageとSalesforceを両方導入済みの企業がMA(マーケティングオートメーション)とSFA(営業支援システム)の連携をテーマに、成果を挙げるための仕組みづくりを学んでいる。
2014年に外資系ベンダーのMAツールが日本市場に進出して以来のMAブームも落ち着いた感がある。現在のB2B企業の関心は、マーケティングとインサイドセールス、営業(フィールドセールス)、カスタマーサクセスの4機能を連携させたレベニュー組織全体の整備へと移った。レベニュー組織の成果を最大化する上で、MAとSFAの連携は重要な鍵になる。
2020年7月末にアドビがオンラインで開催した「Adobe Experience Makers Live」では、SFKETOメンバーであるケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズの谷風公一氏(アソシエイト ディレクター)、HENNGEの板垣慎介氏(Customer Success Division Digital Intelligence Section Sales Strategist)、LINEの林直幸氏(B2B事業戦略室 セールスストラテジー&オペレーションチーム)が登場し、「SFAとつないでMAの性能を格段にアゲる〜連携ユーザーに聞く現場の知恵と勘所〜」をテーマにパネルディスカッションを実施した。本稿ではそのハイライトを紹介する。
最初に、今回のパネルディスカッションでモデレーターを務めたアドビの冨田洋平氏(アドビカスタマーソリューションズ統括本部 プロフェッショナルサービス本部 マルケトサービス部 マネージャー)が、この10年間において様変わりしたB2Bの購買行動について振り返った。
かつて、買う側には自分自身で情報収集をする手段も機会もほとんどなかった。故に売る側の営業担当者は比較的検討の浅い段階から見込み客にアプローチし、コンタクトを得た時点から受注に向けて活動を開始できた。
現在はこれと対照的に、買う側が主体的にリアルのイベントやWebサイトから情報収集を進めている。営業がコンタクトを得る段階では既に買う側の気持ちが固まっている。そうなると、デジタルで早期に見込み客とのやりとりができるかどうかで受注の成否が分かれる。ましてやコロナ禍でリアルでの接点を持つ機会が激減している今日、この傾向はより一層強くなっているといえる。
変化に気付いた企業はレベニュー組織の分業を進め、ファネルの各ステージにいる見込み客に適切なコミュニケーションを取れる体制を整えている。もちろん、インサイドセールスやカスタマーサクセスをただ立ち上げるだけでは意味がない。見込み客/顧客を中心に、誰が何をするかをレベニュー組織全体で共有できる全社共通の基盤を作る必要がある。
そこで課題となるのが、MAとSFAの連携である。MAが得意としているのは、マーケティングが獲得したリードを育成し、有望リードをインサイドセールスに渡すまでのプロセスだ。その後のリードの選別や商談化のプロセスはSFAが担う。2つの連携なしでは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスが共通のデータを見て動くことはできない。
冨田氏は、「もともとMAはSFAを補完するために生まれた経緯があるが、海外と比べて国内では成功例が少ない。導入時の意思決定プロセスをはじめ、社内システム環境、組織構造、SIerとのつながりなど、さまざまな要因が影響している」と語る。
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