「リア充アイドル」他、承認欲求の4類型とは?「いいね!」が欲しい理由は人それぞれ

セールスフォース・ドットコムは、SNSを利用する一般消費者の「承認欲求」に関する調査結果を発表した。ここで明らかになった4つのペルソナと、それらへのアプローチとは。

» 2018年03月05日 12時30分 公開
[下玉利尚明タンクフル]

 セールスフォース・ドットコムは2018年2月22日、「SNS時代の消費者への寄り添い方〜承認欲求に関する調査から見えてきた多様化する消費者思考と嗜好〜」と題する記者向けのセミナーを開催。同社が実施した、SNSを利用する一般消費者の「承認欲求」に関する調査結果を発表した。

 消費者行動を理解する上で、しばしば米国の心理学者アブラハム・マズローが提唱した欲求5段階説が参考にされる。これは、人間の欲求は5階層に分かれ、最下層の「生理的欲求」から順に、住居や食事などの「安全欲求」、組織や家族などの「所属と愛の欲求」、他人に認められたいという「承認欲求」をへて最上層の「自己実現欲求」に至るというものだ。

加藤希尊氏 セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 マーケティングディレクター 加藤希尊氏

 SNSの普及を背景にした最近の消費者行動の特徴は、この第4層目、承認欲求に起因する行動が目立つようになってきたことにある。「ネタ消費」などと呼ばれる、SNSに投稿するためにあえて不要不急のモノを受け狙いで買って見る行動はその最たるものだが、この「承認」の欲求も多様化している。そして、「承認欲求の多様化に伴い、カスタマージャーニーの複雑化が進んでいる」(セールスフォース・ドットコム マーケティングディレクター 加藤希尊氏)というのだ。そこで今回の調査では、SNSにおける承認欲求の特徴を分析することで、より効果的なマーケティング施策を考察することを狙ったという。

 調査内容は、定量調査としてインターネット経由で3720人から72の設問への回答を集め、定性調査として10代から60代の男女8グループに1人2時間ほどのインタビューを実施した。集計は、「いいね!」やコメント、拡散などの承認欲求(承認行動を求める強さ)を縦軸に、「承認の数」と「承認相手(の属性)」のどちらを重視するかを横軸に置いた4象限マトリクスにマッピング。ここから4つの典型的な人物像(ペルソナ)を作り、それぞれについて精査、解析した。各ペルソナの特徴は以下の通りだ。

  • リア充アイドル:承認欲求は強い×承認の数を重視。投稿に積極的。充実した毎日を送っている自分をアピールして「いいね!」獲得に注力。10〜20代の比率が高く、Instagram、twitterの利用率が高い。全体の24%を占める。
  • ミーハー社交家:承認欲求は強い×承認の相手を重視。好奇心旺盛かつ多趣味で、幅広い交遊関係を持ち、SNS上で積極的に交流する付き合い上手。承認欲求は強いがソーシャルメディア上では分別のある行動を取る。同じ趣味や社会で一目置かれている人の承認を求める。全年代に存在し、Facebookの利用率が高い。こちらも全体の24%を占める。
  • 議論系オタク:承認欲求は弱い×承認の数を重視。他者の評価より自分の趣味に熱中。承認欲求は弱いものの、趣味や好きなことに関する投稿は活発に行うタイプ。男性の比率が最も高く、Twitterをよく利用する。全体の10%
  • 協調的フォロワー:承認欲求は弱い×承認の相手を重視。SNSの利用には最も消極的なタイプ。40〜60代の割合が最も高い。家族やママ友などの比較的狭い人間関係の中で、周囲に気を遣いながらSNSを利用。全体の43%。
4つの承認欲求タイプ《クリックで拡大》

 また、同調査では「年齢が若いほど承認の数を、年齢が上がってくるにつれて承認相手を重視する傾向がある」と指摘する。また、調査の結果、Facebookは60代が最もアクティブに利用していること、年齢が若いほど複数のSNSアカウントを利用して複数人格を使いこなしていること、若い人はTwitterでは「普段の自分」の承認を求め、Instagramでは「よそゆきの自分」の承認を求めることなども見えてきたという。

4つのペルソナそれぞれに企業は消費者にどう寄り添えばいい?

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