インタビュー
» 2016年12月22日 08時00分 公開

山口義宏が聞く「最強ブランドのデジタル戦略」:「コカ・コーラ パーク」から「Coke ON」へ、日本コカ・コーラがモバイル+自販機で打つ次の一手 (3/3)

[志田実恵,ITmedia マーケティング]
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「コカ・コーラ パーク」を閉鎖する理由

山口 お話をうかがっていて、新しい施策であるCoke ONへの期待が高まりますが、一方で、日本コカ・コーラのデジタルマーケティングの象徴的存在であったコカ・コーラ パークが12月21日で終了します。Coke ONはスタンプだけでなく、ユーザーが「楽しむ」ためのコンテンツも提供しており、ある意味、コカ・コーラ パークと同じ目的を違う手段で果たそうという狙いもあるように感じます。少し意地の悪い言い方ですが、一時期のマーケティング業界メディアで成功事例の象徴のように扱われていたコカ・コーラ パークが閉鎖され、新しいCoke ONに注力するという判断は大きな戦略転換に感じます。その背景について聞かせてください。

豊浦 コカ・コーラ パークは2007年に開始し、現在1300万人の登録IDがあります。主にセールスプロモーションと連動し、その受け皿として会員数を増やしてきました。ペットボトルのふたに貼られたシールの印字を入力するとポイントがたまるという施策が主で、当初は費用対効果がすこぶる高かった。ただ、あるときから反応や参加が鈍化し、退会者も増えていきました。活性化のための施策も打ち、2014年にはリニューアルもしていますが、プラットフォームとして先細りな状況にあるのは否めませんでした。こうなると1億本以上のふたにシールを貼るという投下コストがどんどんペイできなくなる。

山口 何がその変化の背景となったのでしょう。

豊浦 企業のデジタルプラットフォームとユーザーの接点の持ち方の変化があります。コカ・コーラ パークが始まった2007年は会員制オウンドメディアもまだ少なかったし、SNSも今ほど普及していませんでした。携帯端末もスマホではなくガラケーの世界。カジュアルなゲームやポイント貯蓄が売りになりましたが、その後さまざまなソーシャルメディアやアプリが台頭する中で、コカ・コーラ パークがユーザーのデジタル可処分時間内に占められる割合はどんどん減っていきました。もはや、どんな小手先の施策をやっても活性化は難しい。そこで、新しいデジタル戦略が必要だという結論に至りました。

山口 コカ・コーラ パークは、日本におけるオウンドメディアとしては異例の規模の投資で、ユーザーにさまざまな体験やコミュニケーションを提供することで結果的に購買になって返ってくることを見込んでいたわけですよね。IDの増加が見込めないとはいえ既存のユーザーはいるわけで、企業の意思決定としてやめるのも勇気のいるところだったのではないでしょうか。

豊浦 当然、会員の方は買ってくれています。これは推測でなく実際に調査会社のパネルデータとマッチングさせ、購買効果ははっきり見えています。減っているとはいえ毎月のトラフィックは100万はありました。だからこそ、閉鎖の判断には1年以上かかりました。Coke ONを4月に開始し、次世代のモバイルデジタルプラットフォームになる確信を社内全体で持てたことで、この10月にようやく終了を発表したという流れです。

(後編「日本コカ・コーラにしかできないこと――ブランドの価値から“本物”の体験を創造するデジタル施策とはに続く)

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