増加の一途をたどるオンライン動画と広告プラットフォームのTV広告。両者は2020年までに融合され、広告の姿を変えていくとClickZ.comが報じている。
NielseとSimulmediaが共同でリリースした「The Data-Driven Future of Video Advertising(動画広告が進むべきデータ駆動型未来)」によると、2020年までにオンライン動画とTV広告の融合が進み、その規模は830億ドルと予想できるという(オンライン動画単体では330億ドル)。2014年3月6日、ClickZ.comに掲載された記事“Nielsen: TV and Online Advertising Will Merge by 2020”(「ニールセン調査:TVとオンライン広告、2020年までに統合」)で報じている。
レポートでは、「この7年の間で動画広告がプレゼンスを大きく拡大してきた」とあり、今年の動画広告にかける広告費は全米で57億2000万ドルに達すると予想している。その一方、広告プラットフォームとしてのTVは、リッチデータという特性と、視聴率という明確な指標を持っており、両者は今後、互いに共鳴しながら新しい広告指標の枠組みや広告の姿を変えていくことが期待されている。
ただ、TV広告とオンライン広告の融合は一朝一夕で進むわけではない。その理由として、レポートでは以下の点を挙げている。
(1)TVの消費量は依然として圧倒的。ニールセンによると、2億8300万人の米国人が毎月平均146時間をTVの視聴に費やす一方で、インターネット動画に同時間費やす人は1億5000万人程度にとどまっている。
(2)オンライン動画コンテンツの消費を計測することは容易である一方、TVの視聴率を正確に測るには、労働集約型作業であり、膨大な時間とコストがかかる。
(3)TV広告の入札や購買は、長年培った人間同士のつながりの中で進められるのに対し、オンライン広告は、プログラムされた広告購入プラットフォームを利用するので、人間的なつながりの要素が入っておらず、業界慣習がまったく異なる。
(4)上記と同じく、広告代理店も、従来型のTV広告中心の代理店と、ディスプレイ広告やソーシャルメディア広告、サーチエンジン広告の売買をやり取りしてきたデジタル広告代理店とでは、文化もやり方もまったく異なる。
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