「ユーザーエクスペリエンス設計」=「Web開発」ではないドアノブを参考に(1/2 ページ)

デジタルマーケティングの中で最も重要な役割を担うのは「自社サイト」だ。Search Engine Watchに掲載された記事では、次の4つのレベルに従って戦略策定を行うことをすすめている。

» 2013年11月01日 14時13分 公開
[岩崎史絵,ITmedia マーケティング]

 デジタルマーケティングの中で最も重要な役割を担うのは何か。それはFacebookページでもなければ、Twitterのアカウントでもない。最も重要なのは「自社サイト」だ。多くのマーケターは「ユーザーエクスペリエンスを向上させるべく、自社のWebサイトをどのように設計したら良いか」を考えている。最も、そうしたマーケターでも「ユーザーエクスペリエンス=Web開発のこと、ボタンやバナーの配置を工夫すること」と捉えているケースが多いだろう。

 2013年10月30日にSearch Engine Watchに掲載された記事“The 4 Level of UX Design”(「ユーザーエクスペリエンス設計の4つのレベル」)では、「良いユーザーエクスペリエンス設計とは、何かを開発する前に考えておくべき戦略である」として、次の4つのレベルに従って戦略策定を行うことをすすめている。

1. 目標

 言うまでもないことだが、「ユーザーエクスペリエンス」に関して客観的に測れるビジネス指標を持っておくことが必要だ。「こういう施策をやれば、ユーザーエクスペリエンスが向上するのでは」と漠然とした考えで事を進めても、測定基準を持っていなければ実際にその施策が有効だったかどうか分からない。コンバージョン率など客観的に測れる数値を基準として持っておくことはビジネス上非常に重要だが、ほとんどの企業は具体的な目標値を持たないまま「ユーザーエクスペリエンス設計」を始めている。

2. 戦略

 このレベルでは、「自社サイトで何をしたいのか、ユーザーにどのような経験をもたらすことで、自社のビジネスバリューを上げるのか」を考える。元記事の筆者が1997年に行ったネットフラワーショップのサイト構築では、開発前に実際にリアルの店舗を訪ね、顧客がどのように花を買うのかを観察したという。これにより、非常にユニークな傾向がつかめたそうだ。

 当初予定していたネットフラワーショップのサイトは、ネット上でユーザーが自由に花を選んでオリジナルブーケを作れる機能を持たせることを企画していた。ところが実際に花屋における顧客と店員のやり取りを見ていると、「家族の誕生日に」「妻の誕生日を忘れて喧嘩になったので、名誉回復のために」など、目的に応じて店員に「最適な花束を作って(選んで)もらう」ケースが圧倒的に多いことが分かった。そもそも、「サイト上ユーザーに花を選んでもらう」とは言っても、普通の人はそれほど花に詳しくないし、選んだ花でどのようなブーケが出来上がるか、なかなかイメージがつかめない。そこでこのフラワーショップのサイトでは、むしろ「どんな目的のための花なのか」ということから、好きなブーケを選ぶ機能を持たせたという。以来15年、そのショップのコンバージョン率は相変わらず高レベルを維持しているそうだ。

 正しいユーザーエクスペリエンス設計においては、マーケター(企業)側の思い込みを捨て、実際のユーザー行動から考えよう。

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