楽天経済圏を支えるアクセス解析の全貌(後編)(4/4 ページ)

» 2010年07月14日 08時30分 公開
[清水誠(楽天),ITmedia]
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可能になったカスタム計測

 SiteCatalystの導入・活用から約半年が経ったころ、従来は不可能だった指標の計測や分析が可能になり、楽天グループ内でそれを横展開できるようになった。分析手法は標準化し、いつでも活用できるように引出しにしまってある。その計測に必要な実装は完了している。参考にできる社内事例も増えてきた。具体的には各事業において、以下の項目の計測が可能となった。

項目 成果
グループ内回遊とコンバージョン 楽天グループ全体のWebサイトにおける横断的なアクセス、購買などのコンバージョン追跡
入力フォーム最適化 離脱した項目やエラー発生項目の特定
ABテスト 単純な表示切り替えではなく、条件指定によるターゲティングや統計処理がリアルタイムで実行可能に
Flash計測 インタラクティブな機能の利用状況が分かるようになった
Salesforce CRMとの連携 オフラインでの審査結果をSiteCatalystに取り込むことによる広告効果
Twitter効果測定 フォロワーやRTの数を記録し、トラフィックやコンバージョンと対比
動画計測 動画の再生時間やコンバージョンへの貢献度の算出
スクロール解析 Webページがどこまで表示されたかを考慮したエリアの効果測定

最後に

 約40の事業部が展開する楽天のオンラインサービス。その運営形態は幅広く、運営期間は1年未満から10年以上まで、運用に必要な人員の規模は数人から数百人規模とさまざまだ。

 アクセス解析ツールの導入は、事業やビジネスの成果を仮説に基づいて検証し、次の施策の精度を高めることにつながる。楽天市場や楽天トラベルのような成熟したサービスでは、新手法の開拓や効果測定の運用効率改善、統計処理による解析精度の向上などが求められている。最先端の考え方や技術を応用する上で、アクセス解析は極めて重要な取り組みになってくる。

 アクセス解析は、ビジネスの改善に必要なことを愚直に続ける取り組みであり、試行錯誤に終わりはない。アクセス解析で得たノウハウや仮説の積み重ねが、結果としてビジネスの底上げにつながるからだ。

 楽天はアクセス解析を徹底的に活用することで、スピード感が求められるインターネットの世界で常に最先端を走り、世界一を目指し続けていく。

著者プロフィール 清水誠(しみず・まこと)

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楽天株式会社でアクセス解析とWeb最適化の全社的な活用促進を推進している。1971年生まれ、仙台出身。1995年よりネットサービスの立ち上げやユーザビリティ、情報アーキテクチャに関するコンサルティングに従事。2004年からは事業会社にてWebやITを活用したプロセス改善を実践している。アクセス解析イニシアチブ会員。執筆・講演も手掛ける。個人ブログは「実践CMS★




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