企業がビジネスにTwitterを使う場合、正しい効果測定をすることは不可欠だ。成功を収めている企業から、効果測定の手法やその効果を学ぶ。
「Twitterの投資効果をどのように測定すればいいのか」
企業にソーシャルメディアの活用を勧める際に必ず受ける質問だ。企業のマーケティング担当者は、Twitterをはじめとするソーシャルメディアを採用する際に、既存のメディアと比べて効果が得られるのかを厳しく問われる。実運用時において、どういったKPI(重要業績評価指標)を設定すればいいかも論点となる。
企業がTwitterを活用する目的を大別すると、(1)セールスプロモーション、(2)Webサイト誘導、(3)顧客サポート、(4)広報や求人など企業情報の告知――の4つに分類できる。このうち、(1)から(3)の用途は企業の直接の営業活動に結び付くものであり、投資効果を測定するための手法を定めておくことが必須となる。 本稿では、上記分類に基づき、企業がTwitterを活用するためのベストプラクティスを分析し、効果測定の方法を考察する。
商品販売に結び付ける活用方法で成功している企業の公式アカウントは、特別価格の限定商品などをツイート(つぶやき)している「DellOutlet」「NAKEDpizza」がある。
DellOutletは130万人を超えるフォロワーを誇り、商用のアカウントとしては最大級の規模だ。Twitterからアウトレット関連の商品情報を積極的に配信し、開設から2年間で300万ドル以上の売り上げにつなげている。9月に調べたところ、1日当たり平均1.7回のツイートを行っており、その数は意外と少ない。ツイートの内訳は個別対話が0.7回/日、アウトレット情報の配信が0.7回/日である。
「NAKEDpizza」はニューオーリンズのピザハウスが顧客交流を目的として開設したアカウントで、フォロワーは6000人強に上る。すでにTwitter経由での売り上げが全体の15%を超えたほか、直近の特売日では実に総売上の69%をTwitter経由で売り上げた。1日当たり3.3回のツイートで、そのうち個別対話、宣伝がそれぞれ1回/日となっている。
販売に結び付くTwitter活用の投資効果を算定する場合は、以下の項目を考えればいい。
投資:フォロワー獲得の広告宣伝費 + アカウント運用の人件費
効果:販売した商品の粗利益
また、個別のツイートごとに効果を測定することで、成果に結び付きやすいツイートを配信できるようになる。具体的には、(1)どんな商品やキャンペーンが向いているか、(2)どの程度の値引きが効果的か、(3)どのタイミングでツイートをすると反応が良いか――などの項目を検証するといい。
NAKEDpizzaでは、ツイートごとにクーポンコードを発行し、個別のツイートにどれだけ効果があったかを分析している。ツイートにひも付いたクーポンは「twtQpon」と呼ぶ無料サービスを使うと発行できるため、企業がTwitterを活用して販売促進を行う際には重宝するだろう。
また、Twitterを使った販売促進においては、「フォロワー獲得のための広告宣伝費」がすべての効果測定に影響してくる。最もシンプルなのはTwitterにバナー広告を出すことだが、推定で1フォロワー獲得当たり平均1000円以上*1が掛かるため、コストは割高になる。まずは既存顧客や見込み客、来店客にTwitterを告知し、実際の投資効果を確認しておくべきだろう。
米国では、スーパーマーケットのWhole Foods Marketがクーポンやフォロワーコンテストを実施し、1年間に100万人のフォロワーを獲得している。フォロワーの獲得には、単純にバナー広告を出すよりも、特売やTwitter専用のイベントを実施する方が効率がいい。
*1 Twitterの媒体資料によるとバナー料金は1週間当たり200万円。それに対する効果を福助のTwitterアカウントで算出する。Twitterにバナーを出していた福助の公式アカウント「fukuske」を「TwitterCounter」で調査したところ1週間で約1100フォロー(フォロワー数は8月30日時点で529、10月5日時点で1610)。またTwitterにバナー広告を出したEC Studioは、初日で100フォロー以上を獲得したとある(『EC studioのTwitter広告出稿の狙いとその効果 』)。これらから1フォロー当たり約2000円程度の費用が掛かると推定できるが、バナー広告出稿後もゆるやかにフォロワー数は増加するため、1000円以上とした。
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