インフルエンサーの表現力を引き出すオリエンテーション、「伝え方」のポイントは?【連載】インフルエンサーマーケティングの効果を可視化する 第2回(1/2 ページ)

存在するだけで影響を与えるインフルエンサーだが、そのパワーを最大限に引き出し最良のクリエイティブを作り出してもらうには商品への理解が大切。そこで重要になるのがオリエンテーションだ。好評連載第2回。

» 2017年05月15日 07時00分 公開
[近田哲昌サイバー・バズ]

 第2回のテーマは、インフルエンサーが投稿する「クリエイティブ」についてです。第1回「『フォロワー数が全て』の何が間違っているのか?」では、顧客層に合わせて「誰が」商品の魅力を語るべきかという「ターゲティング」の部分をお話しさせていただきましたが、次に重要なのはその人に「どう伝えてもうらか」です。

 インフルエンサーマーケティングにおいて、商品の魅力を伝えるインフルエンサーは、魅力的なコンテンツを作る役割を担うという点でクリエイターともいえます。インフルエンサーマーケティングにおいて広告効果を最大化させるためには、インフルエンサーの世界観を反映しつつ、商品の良さを引き出したクリエイティブを生成する必要があります。そのためにはまず、彼ら/彼女らに、投稿する商品について十分に理解してもらう必要があります。つまり、オリエンテーションが極めて重要になってくるのです。

 ここで念のために確認しておきたいのは、インフルエンサーの投稿と広告との関係性です。企業の活動に対してインフルエンサー(を含む生活者)が自発的に反応してコンテンツが生まれるという流れはもちろんあり得るわけですが、企業が訴求したいメッセージがあって、インフルエンサーに対価を支払った上でそれについて伝えてもらうのであれば、その投稿は広告と定義されます。広告である以上は企業には広告主としての、インフルエンサーには広告掲載媒体としての責任が伴うことになります。ここを曖昧にしたまま他の自発的な投稿と誤認されてしまうと、いわゆるステルスマーケティング(ステマ)と捉えられかねないので、十分に注意したいところです。具体的なガイドラインは日本インタラクティブ広告協会(JIAA)の「ネイティブ広告ハンドブック」に詳しく記載されています。インフルエンサーマーケティングに携わる人は、必ずこれに目を通しておくべきでしょう。

 本題に戻ります。通常、バナー広告やインフィード広告といったインターネットを活用した広告施策では、自社の顧客層にマッチする最適なクリエイティブを制作し配信することで、広告効果の向上を図ります。クリエイティブの制作に際しては、商品の機能や価格、あるいは「競合製品の中で「ナンバーワン」である点や想定される利用シーンなど、さまざまな訴求ポイントを用意することが一般的です。幾つかのパターンを同時に配信することで広告効果をリアルタイムに確認しながら、効果の高いクリエイティブに広告の配信量を寄せていきます。

 しかし、インフルエンサーを活用した広告施策で複数のクリエイティブを同時に検証することは現実的ではありません。もちろん、長期間にわたって同じインフルエンサーから複数回、別の訴求ポイントで広告コンテンツを投稿してもらうことは可能ですが、その場合、クリエイティブの効果検証に時間がかかり、成功パターンを見つけたときには既にトレンドが変わってしまっていることにもなりかねません。

 そう考えると、インフルエンサーマーケティングでは1回1回の投稿におけるクリエイティブの重要度が高いといえます。そのために、インフルエンサーに対して商品の訴求ポイントを丁寧にオリエンテーションをすること、これが高い広告効果を生むには欠かせない要素であると当社では考えています。

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