ニュース
» 2012年08月16日 17時30分 UPDATE

【連載】マーケティング7つの法則:#3 『仮設』検証で考えるプロダクトマーケティング

日本ではサービス開発の際、「いいものを作ろう」という圧力の高さゆえ、一発必中を狙ってしまいがちでなかなか作業に取り組めない、と主張する筆者。スピーディにビジネスを進めることができる「『仮設』検証で考えるプロダクトマーケティング」を勧めています。

[坂本英樹,オルタナティブブログ]

 「構え、撃て、狙え」というビジネスの格言があります。米国の伝説的経営者であるロス・ペローの言葉です。ペローは1962年にEDS(Electronic Data Systems)というアウトソーシングの草分けを創業し、1984年に事業をGM(ジェネラルモータース)に売却、経営陣入りします。しかし、GMは官僚的で物事がなかなか決まらない、言わば「狙え、狙え、狙え 」な組織だったといいます。そこでペローがGMの組織の在り方を批判した際に生まれたのが「構え、撃て、狙え 」という言葉だったと有名コンサルタントのトム・ピーターズの本が伝えています。

 非常に面白い逸話で実際のビジネスやマーケティングを考える上で使えそうな格言ですが、プロダクトマーケティングの文脈でこの格言を実行する上では、もう少し違う表現の方がいいのではないかと「構え、撃て、狙え」を実行してみて思うようになりました。

 考えたのは『仮設』検証という言葉です。仮説検証ではありません。もちろん「仮説」の検証は重要です。例えば「エキナカ自販機の売上が、伸びている理由」のような優れた分析の事例を目の当たりにすると、「インサイト(洞察力)」を鍛えることやデータを読むことの重要さが良く分かります。

 ところが、日本企業の場合、仮説検証の際に「そもそもいい仮説を持っているのか?」というプレッシャーで行動が鈍るという弊害が起きているようです。また、日本企業では「プランニングを厳密に、企画を作り込む」という風潮も垣間見えます。もちろんまともに動かない、使えないものを世に出すのはよくありません。しかし、日本の場合「いいものを作ろう」という圧力の高さゆえ、仮説検証とは言いつつも「一発必中」を狙ってしまっているのではないでしょうか。つまり「構え」の部分に力が入りすぎているのです。

 そこで『仮設』検証です。『仮設』と言うとあまりいい響きがしませんが、あらかじめサービスの使用終了期限を決めておけば成否の検証がより正確にできます。また、将来的に作りなおすことを念頭に置くので、サービスの製作時間を短くできるというメリットもあります。何より、作り直すか捨てるか、後で決めるという前提で開発すれば、改良版を作ることや、そもそも方向が間違っていた、と捨てることもできます。

 普通ならば一度始めると止めるのが難しいサービスであっても『仮設』なら「期間限定」と銘打って始められます。現在、PDCA(プラン、実行、チェック、処置/改善)というフレームワークが有名ですが、実際にはプランばかりでチェックと処置/改善の余力が残らないプロジェクトが多いと感じています。

 プロセスや検証を複雑にしない『仮設』検証という単純なモデルの方がうまくいくケースもたくさんありそうですが、いかがでしょうか。

※この記事はITmedia オルタナティブブログ「坂本英樹の繋いで稼ぐBtoBマーケティング」の原稿を一部修正したものです。


寄稿者プロフィール

photo

坂本英樹(さかもとひでき) 基盤系の外資ソフトウェア会社でネットマーケティングを担当。リード獲得の実務と裏方に日々奮闘中。案件を営業に「繋ぐ」、売り上げに結び付けて「稼ぐ」という意識(日本のマーケティングではまだまだ足りない)や活動を普及させ、さらにはマーケティングで「測れて報われる」ことを目指している。


関連キーワード

マーケティング | ビジネス | 日本 | 企業 | B2B | PDCA


Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


news080.jpg
「Web & デジタル マーケティング EXPO 春」リポート:

野本纏花 2016年5月26日

スマートフォンアプリ広告の新潮流 後編:

侯 明昊 2016年5月19日

【連載】営業の生産性を向上させる「インサイドセールス」活用術 第1回:

岩永信義 2016年5月17日

B2B営業を成果につなぐブランド戦略:

山口義宏 2016年5月16日

【連載】インターネットマーケティングの次世代KPI 第1回:

太田 滋 2016年5月10日

news029.jpg
【連載】Google アナリティクス360スイート完全攻略 第1回:

野口竜司 2016年5月24日

非利用者も約半数が「興味あり」:

 2016年4月22日

【連載】初めての競合分析 第1回:

山屋 豪 2016年4月14日

【連載】ソーシャルゲームに学ぶ「攻め」のデータ分析 第2回:

伊藤 学 2016年4月13日

クラウドサービスとパッケージで:

織茂洋介 2016年3月31日

news007.jpg
【連載】“0円”から始めるマーケティングオートメーション 第3回:

永井俊輔 2016年5月27日

【連載】“0円”から始めるマーケティングオートメーション 第2回:

永井俊輔 2016年5月18日

クラウド化が進むコンタクトセンターソリューション市場:

 2016年5月13日

「テラスモール湘南」実証実験をレポート:

織茂洋介 2016年5月4日

【連載】インターネット時代の企業PR 第43回:

細川一成 2016年5月20日

週刊「調査のチカラ」:

やまもとはるみ 2016年5月7日

【連載】インターネット時代の企業PR 第42回:

細川一成 2016年4月18日

“Facebookファースト”で考える(後編):

佐藤俊介 2016年3月25日

news014.jpg
【連載】データと調査で“愛されWeb”を作る 第1回:

太田文明 2016年5月9日

「Adobe Marketing Cloud Customer Experience Forum 2016」レポート:

織茂洋介 2016年5月6日

【連載】オウンドメディアで企業のブランド価値を高める 第5回:

後藤 洋 2016年4月5日

トライベック・ブランド戦略研究所が調査:

 2016年3月18日

【連載】オウンドメディアで企業のブランド価値を高める 第4回:

後藤 洋 2016年2月4日

Loading

「ITmedia マーケティング」購読一覧