コミックシーモアと楽天市場の両サービスは、なぜ数あるSNSの中でInstagramを出稿メディアに選んだのか。
その理由の一つを「幅広い層のポテンシャルユーザーにリーチできるから」と語るのは、コミックシーモアの坂元氏である。Instagramは単にユーザー数が多いだけでなく、性別・年齢ともに幅広い層をカバーしているし、ダイレクト広告の出稿経験から、Instagramユーザーと電子コミックの相性がいいことは分かっていた。
電子コミックに興味・関心の高いユーザーがいるInstagramで、ダイレクト広告とブランディング広告を掛け合わせれば、広告効果の最大化を図れるのではないかと考えた。
楽天市場の尾崎氏は、広告メディアとしてのInstagramを活用する利点として、「データクリーンルームで精緻な効果測定ができるところ」を挙げた。具体的には、広告効果を正確に測定するために、広告主が保有するデータとMetaの保有するデータを一箇所に集めて分析できる。広告接触の積み重ねによって中長期的な行動変容を促すブランディング広告では、広告単位ではなく人単位で継続的な効果測定を行う必要があるという。
コミックシーモアは、広告の接触者と非接触者のコンバージョンの差分を比較することで、広告がどれだけ成果に貢献したかを測定する手法「コンバージョンリフト」を用いた検証をした。「ブランディング広告は配信期間中だけでなく、掲載終了後にもリフト効果が残存するのではないか」という仮説のもと、コンバージョンリフトの手法をブランディング広告に応用したわけだ。
結果、やはり広告の掲載終了後にもリフトは起こり続けていた。1カ月に及ぶ残存効果も加味すると、約3倍のリフト効果があると判明した。逆にいえば、1カ月でリフトの残存効果がなくなると分かったことから、ブランディング広告を毎月出稿する意義はあると判断した。
「ブランディング広告は短期的に結果が出るものではないからこそ、しっかり時間をかけて効果検証してもらいたい」(坂元氏)
これに対し、尾崎氏は「人単位で精緻な効果測定ができるデータクリーンルームを使えば、ブランディング広告も計測できるようになった。『定量化できないから』という理由でブランド広告への投資に踏み切れなかった人たちにも、おすすめしたい」とした。
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