宇木氏と三浦氏はそれぞれ、タクシー広告の効果的な活用事例も紹介した。
宇木氏が取り上げたのはSUBARUの運転支援システム「アイサイト」の事例だ。購入能力のあるターゲット(特に女性)に対する安全性の認知向上と購入意向のリフトアップを目的として、TOKYO PRIMEの番組「ひみつのPRIME」とタイアップしたコンテンツを制作。メインキャラクターである「ラヴィさん」がアイサイトの魅力を語るという内容だ。
効果については、広告接触者と非接触者で認知率が27.6ポイント、購入意向度が34.2ポイント、高感度が16.6ポイントも開く結果となった。
「オリジナルコンテンツが好感度を上げる一助になったと考えています。私たちが大事にしているのはコンテンツ。それを活用してさらに相乗効果を出すような広告メディアになっていきたい」(宇木氏)
三浦氏はシェアリング可能な別荘「NOT A HOTEL」の事例を紹介した。ターゲットである富裕層にリーチ可能な媒体としてタクシー広告が選ばれた形だ。クリエイティブは音と映像のみでサービスの世界観を伝えるスタイリッシュなブランド動画と、ニュース番組風にアナウンサーがサービスを紹介するものを放映した。
このキャンペーンでは、放映週の指名検索数が未放映の週と比べて2倍、資料請求が1.5倍に増えた。また、資料請求者のうち「タクシー広告を見て」を選択した人は、高所得者の比率が他メディアと比べて高くなっており、ターゲットに確実にリーチできた。
「(台数が増えた)現在の規模では、クエリ(問い合わせ)に対して確実にタクシー広告が寄与していることが分かります。また、医師や経営者のリードが取れてそこから実際に物件が売れるなど、クライアントには出稿した効果をダイレクトに感じていただいています」(三浦氏)
タクシー広告のビジネスは広告単体では成立しない。「OOHというくくりで見ればタクシーサイネージは広告を流すパネルではあるけれど、(オリジナルのコンテンツを含めた)メディアとして捉えるべきだと認識している」と三浦氏は語った。宇木氏も「いい視聴環境を作ることができたので『見せられるもの』というよりも『見るもの』と意識していただきたい。そこがおそらくコンテンツ作りの肝になると思う」と応じた。
宇木氏はさらにこれからのタクシー広告について「双方向性」をキーワードに挙げた。「インタラクティブなものを既存のコンテンツと組み合わせて何か新しいことができないかと考えています。効果測定も含めた仕組みを新しく作り上げていくのが、次にトライしていきたい取り組みとなっております」
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