「押し付けがましい広告」が配信されたとき、消費者はどう感じるかマーケターは肝に銘じたい

消費者は個人データに依存した広告よりも、記事などのコンテンツの文脈に沿っている広告を好む傾向があることが分かった。

» 2025年03月15日 14時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 コンテクスチュアル広告を手掛けるGumGumは、日本のデジタル広告に関する消費者意識調査を実施し、レポートを公開した。同調査は英調査会社Censuswideが2024年10月25日から28日にかけて、日本の18歳以上の消費者1000人を対象に実施。2025年を迎えた今、消費者は自分のデータが収集されて広告配信に使われることをどう感じているのか、デジタル広告が進化し続ける中で何を本当に求めているのかを明らかにした。

個人情報に基づく広告よりも好まれるのは?

 プライバシーへの懸念が高まる中、ブランドが広告を配信する際に最も優先すべきことを聞いたところ、「個人データの保護」と回答した消費者は81.2%に上った(「極めて重要」が56.8%、「ある程度重要」が24.4%)。現在、デジタル広告に対して消費者がプライバシーに関する不安を持っており、個人データの保護を求めていることが見える結果となった。

消費者の最大の関心は、「自己データの保護」(出典:GumGum「2025年、デジタル広告の『現在地』〜日本の消費者意識調査より〜」、以下同)

 従来のデジタル広告において、ターゲティングの根拠となる消費者の行動履歴を捕捉するために主に使われてきたのが、アクセスしたWebサイトからブラウザに送信されるCookieと呼ばれる小さなテキストファイルだ。しかし、プライバシー保護の観点からCookieの使用に対する否定的な考え方が強まっている。

 今回の調査でも消費者の36.6%がCookieに対して否定的な見方を示し、24.1%が「不快感を覚えるので他の手段が望ましい」、12.5%が「消費者を尊重しておらず、やめるべき」と回答した。

Cookieへの疑念

 消費者は「プライバシーに立ち入り過ぎている」「押し付けがましい」と感じる広告に大きな不安を持つことも明らかとなった。私生活に深く関わり過ぎる印象の広告が配信された場合、31.9% は「自分のデータをより厳重に保護する」、17.9% は「なぜ自分の情報をこれほど持っているのか、ブランドに疑念を持つ」と回答した。

 人間関係や健康といったデリケートなテーマを取り上げた広告は「迷惑」と感じられ(38.9%)、特に問題視されている。「広告が押し付けがましい、あるいはプライバシーを侵害している」と感じた場合、「そのブランドのサービス利用をやめる可能性が高くなる」と答えた人は 58.4%だった(「ある程度高くなる」が35.4%、「非常に高くなる」が23%)。

消費者の大多数は、「押し付けがましい広告」に強く反発

 消費者を固定観念で捉えた広告や不快感を与える広告はブランドに弊害を及ぼす。「不快な手法、あるいは固定観念で分けられ、広告のターゲットにされた」と感じる人は79.4%を占める。そのうちの38.4%が「広告がまったく的外れだった」、18.7%が「広告主に不快感は覚えないが、手法が拙いと感じる」、22.3%が「特に気にはならない」と回答している。

 プライバシーには配慮してほしいし、的外れな広告は見たくない。ならば、個人データに依存せず文脈性の高い広告ならどうか。コンテクスチュアル広告に対する印象では、37%が「他の広告より注意を払う」と回答した。

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