GEM Partnersは、動画配信(VOD)市場の現状と今後の予測をまとめた年次レポートを公開した。
エンターテインメント業界を対象にデジタルマーケティングサービスを提供しているGEM Partnersは「動画配信(VOD)市場5年間予測(2025-2029年)レポート」を発行した。1年間で消費者が定額制動画配信(SVOD)、レンタル型動画配信(TVOD)、動画配信販売(EST)のサービス事業者に支払った金額を推計したもので、広告収入は含まない。
同レポートは2024年の動画配信サービス全体の国内市場規模を、前年比3.3%増の5930億円と推計している。これは、コロナ禍が始まった2020年と比較して、市場規模が約1.5倍に拡大したことを意味する金額だ。しかし、各年の増加率をみると、2021年以降の市場規模は拡大を続けてはいるものの、成長のペースは鈍化していることが見て取れる。
今回のレポートでは、2029年までの動画配信市場全体の成長スピード予測を「ベース」「楽観」「悲観」の3つのシナリオで試算している。2022〜2024年と同ペースで対前年成長率が低下すると仮定したベースのシナリオでは、2029年の動画配信市場規模は7873億円になる見込みだ。また、DVD・BD市場は今後も縮小するとみられるが、動画配信市場はそれを上回るペースでは拡大するとみられる。このため、ベースシナリオではDVD・BDと動画配信を合わせた映像市場規模全体も拡大し、2029年に向けて拡大すると予測している。
定額制動画配信サービスの国内市場規模は、前年比4.1%増の推計5262億円となった。引き続き成長は続いているものの、2023年は前年比12.1%増で推移していたことを踏まえると(関連記事:「サブスク動画配信サービスの市場規模が5000億円超え 最もシェアを伸ばしたサービスは?――GEM Partners調査」)、勢いの低下は否めない。
サービス別シェアを推計したところ、首位は6年連続で「Netflix」だった。ただし21.5%のシェアは前年比0.4ポイント減となるもので、3年連続でシェアが低下している。
2位は前年に引き続き「U-NEXT」で、シェアは17.9%。前年比2.7ポイント増となった。同サービスは2022年に「Amazonプライムビデオ」を抜いて2位に浮上。2023年7月に「Paravi」とサービス統合をしたことも影響し、シェアの拡大が進んだ。2024年は市場全体の成長が停滞する中で、U-NEXTは唯一前年比1.0ポイント以上の成長を成し遂げた。
今回調査対象となった13サービス中、前年からシェアを拡大したのはU-NEXTの他に「FOD(FODプレミアム)」「DMM TV」「ABEMAプレミアム」、Amazonプライムビデオの5サービスがある。
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