XがZ世代ユーザーに関する新たなデータを公開した。これによると、XはZ世代のオーディエンスと関わりたいブランドにとって最適なプラットフォームだという。
Z世代とつながる方法を探しているなら、Xこそが最適なプラットフォーム――。これは、X自身が最新のレポートで示したZ世代の利用動向と、若年層ユーザーがどのようにこのアプリで交流しているかについての見解である。
もっとも、この主張は外部調査によって十分に裏付けられているわけではない。その点については後ほど触れる。
Xは次のように主張する(外部リンク/英語)。
Xは、情熱的で注意深く、時に捉えにくいZ世代のオーディエンスと関わりたいブランドにとって最適なプラットフォームです。Z世代のユーザーは引き続きXを利用しており、前年比で8%増加、2022年以降の米国における増加率は12%に達しています。現在、Xのユーザーの31%がZ世代に属しており、当社は彼らの関心を引きつけるだけでなく、トレンドやカルチャーの流れをけん引しています。それは、日々生まれるミームやバイラルコンテンツが証明している。Z世代は、バイラルトレンドや文化的な瞬間を楽しむための主要なプラットフォームとして、ますますXを活用しています。
Xによれば、同プラットフォームは「Z世代の関心を捉え、何百万人もの影響力のあるユーザーを引き付けており、彼らは真実性と即時性を重視するブランドに共鳴している」という。
この傾向は、Xの動画エンゲージメントデータにも表れている。Xによると、同プラットフォームの没入型動画フィードはZ世代の支持を大きく集めているという。
Xは若年層ユーザーにとって、有名人をフォローする重要な手段でもある。
Xはさらに、ユーザー層の特異性についても強調しており、Xのユーザーの多くは他のソーシャルアプリをそれほど積極的に利用していないと指摘している。
例えば、XとThreadsのユーザーの重複率はわずか19%にすぎません。これは、最も価値のあるZ世代にリーチする上で(Threadsだけでは)Xユーザーの81%を逃してしまうことを意味します。また、TikTokと比較して、Xは19%多くのリーチ純増を提供します。つまり、現在の勢いを維持しつつ新たなオーディエンスにリーチしたい人々にとって、Xは最適なプラットフォームということになります。
しかし、このデータの解釈にはかなり誤解を招く部分がある。
例えば、Xは現在、月間アクティブユーザー数(MAU)が5億7000万人に達していると主張しているが、InstagramとTikTokはそれぞれ10億人のMAUを抱えている。つまり、両プラットフォームのユーザー基盤はXの2倍の規模である。そのため、Xがこれらのアプリよりも若年層に対して優れたリーチを提供できるとする主張は、現実的とは言い難い。
この点はPew Researchが12月に発表した最新の統計データ(外部リンク/英語)が裏付けている。同社調査によると、Xは10代のユーザー層の間で支持を失いつつある。
実際のところ、Xが今回のデータを引用したGWI(外部リンク/英語)でさえ、Z世代向けの主要なソーシャルプラットフォームのリストにXを含めていない。
公平を期すために言うと、Xが提示したグラフは、あくまでXのユーザーに関する比較データを示しているにすぎない。例えば、Xを利用しているZ世代ユーザーのうちThreadsを併用している割合が低いことを指摘したからといって、それをもって「Xを利用しなければZ世代の重要なオーディエンス層を逃してしまう」と主張するのは恐らく正しいとは言えない。実際には、他のプラットフォームを活用した方が、はるかに多くの若年層にリーチできる可能性が高いからだ。
より正確な比較をするならば、TikTokやInstagramのユーザーのうち、どれくらいの割合がXも利用しているのかを示すべきだろう。そのデータがあれば、また違った見方ができるはずだ。
とはいえ、あくまでXによればだが、若年層ユーザーはXに関心を持ち、積極的に利用しているというのだから、これが新たなビジネスチャンスにつながる可能性もある。
確かに、Xに独自のZ世代ユーザー層が存在する可能性は高いと考えられる。しかし、入手可能な外部データを総合すると、若年層にとって圧倒的に人気のあるプラットフォームは他にあるというのが実情だ。
Xが公開したZ世代の利用動向レポートの全文は、こちら(外部リンク/英語)から確認できる。
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