読まれた投稿のうち「リンク付き」はたったの…… データが示すFacebookのリアルSocial Media Today

Metaは「2024年第4四半期版インテグリティレポート」を公開。ここには現在のFacebookで閲覧され、共有されるコンテンツの傾向や安全性、影響力工作の現状などがまとめられている。

» 2025年03月03日 08時00分 公開
[Andrew HutchinsonSocial Media Today]
Social Media Today

 Metaは「2024年第4四半期版インテグリティレポート」(Integrity Reports, Fourth Quarter 2024)を公開した。本レポートには、「コミュニティスタンダード施行レポート」(Community Standards Enforcement Report)、「敵対的脅威レポート」(Adversarial Threat Report)、「広く閲覧されたコンテンツレポート」(Widely Viewed Content Report: What People See on Facebook)、「2024年下半期の監視委員会レポート」(H2 2024 Report on the Oversight Board)が含まれている。

 例えば「広く閲覧されたコンテンツレポート」には、次のような貴重な情報が記載されている。

画像はMeta「広く閲覧されたコンテンツレポート」より

Facebookで閲覧されやすいコンテンツの傾向

 2024年第4四半期に米国で閲覧された投稿の97.9%にはFacebook外部のリンクが含まれていなかった。この結果は、パブリッシャーにとってあまり喜ばしいニュースではない。

 この割合は過去4年間で着実に上昇している。Metaが初めてこのレポートを発表した2021年第3四半期(Q3)時点では、フィードに表示された投稿のうち外部リンクを含んでいない割合は86.5%だった。

 この事実は、Facebookからの自然流入獲得がこれまで以上に難しくなっていることを意味する。Metaはニュースコンテンツから距離を置く戦略の一環として、リンクの優先度を引き下げてきた。しかし、最近では政治的な議論をアプリ上で再び許容する動きもあり、この方針が今後変わる可能性もある。ただ、少なくとも現時点のデータを見る限り、Facebookは依然として「リンク嫌い」な環境であると言える。

 なぜFacebookのトラフィックが減ったのか不思議に思っていたとしたなら、恐らくはこれが大きな原因だ。

 第4四半期で最も多く閲覧されたトップ10のリンクを見ると、Facebookユーザーに何故か共鳴した雑多なコンテンツがランダムに並ぶ。

 例えば、「宇宙飛行士がクリスマスを祝う」「マーク・ウォールバーグが家族のクリスマス写真を投稿」「ニール・パトリック・ハリスがクリスマスソングを披露」といった内容だ。要するに、スーパーマーケットで売られているタブロイド紙に載っていそうな見出しがFacebookの議論を支配しているということだ。

 これと並んで、季節感あふれる感傷的な物語も多く、例えば「子どもがサンタにおもちゃではなく母親を助けてほしいとお願いした」といった投稿が拡散されている。確かに心温まる話ではあるが、正直なところ、「またか」という気分にもなる。

 「最も共有された投稿」のランキングを見ても、状況はあまり変わらない。

 Facebookで反響を得たいのであれば、セレブ雑誌を参考にするとよいかもしれない。実際、そうしたタイプのコンテンツが拡散しやすい傾向にある。一方で、美徳を示す投稿や「知的な」内容も、ある程度はアプリ内で支持を得ているようだ。

 この傾向をどう捉えるかは、あなた次第である。

 ルール違反に関しては、2024年第4四半期に特に顕著な急増は見られなかったものの、Metaによると、Instagramでは「プロアクティブ検出技術」の強化により、暴力的なグランドコンテンツの増加が確認されたという。

 自殺や自傷行為に関するコンテンツへの対処件数も増えている。

 また、注目すべきは、Metaが「2024年第4四半期のFacebookの全世界月間アクティブユーザー(MAU)のうち、偽アカウントが占める割合は約3%」と述べている点だ。

 この数値の何が注目に値するのかというと、Metaはこれまで、この割合を5%と見積もってきたからだ。この数値は業界標準のようなものになっているが、実際のところ正確に測定する方法は存在しない。それでも今回Metaはこの割合を引き下げてきた。これは検出プロセスの精度向上に自信を持ったことを意味するのかもしれない。あるいは、単に基準となる数値を変更しただけという可能性もある。

 Metaは次のような興味深いメモも共有している。

このレポートは2024年第4四半期のものであり、2025年1月に行われたポリシーや執行の変更に関するデータは含まれていません。しかし、私たちはこれらの変更を監視しており、特定のコンテンツを積極的に削除しなくなったにもかかわらず、違反コンテンツのまん延に大きな影響は見られていません。さらに、この新しいアプローチにより、執行上の誤りが測定可能なレベルで減少していることが確認されています。

 ここで言う変更とは、Metaが物議を醸す形で第三者によるファクトチェックを廃止し、コミュニティノートモデルに移行したこと、ヘイトスピーチに関する方針を中心に一部のポリシーを改定し、トランプ政権が望むであろう方向性により沿った形にしたことを指す。

 Metaは、この結果として違反コンテンツの状況に大きな変化があったという事実は、少なくとも今のところはないと述べているわけだ。一方で、誤ってアカウントを禁止するケースは減少しているとも。

 一見すると、変更によって状況が改善されているように見える。だが、実際のところ、このデータにはあまり意味がない可能性が高い。

 Metaがミスによるアカウント禁止の減少を確認したのは、単にそもそも取り締まりの回数を減らしたからにすぎない。監視の頻度を下げれば、誤った取り締まりの件数も減るのは当然だ。しかし、本当に重要なのは、「適切な施行が維持されているのか」という点であり、監視を緩めた結果として、特定の発言に対する規制が甘くなっていないかが問題となる。

 従って、この段階でのMetaの声明は、ほぼ無意味であり、変更を批判した人々に対して反論しているにすぎないように思われる。

 脅威活動に関しては、Metaは第4四半期にベナン、ガーナ、中国を発信源とするいくつかの小規模な作戦を検出した。

 しかし、おそらくより注目すべきは、Metaが数年間追跡してきたロシアを拠点とする影響工作「Doppelganger」に関する以下の説明だ。

11月中旬から、この作戦の運営者たちは私たちのアプリ上で米国、ウクライナ、ポーランドへの標的化を一時停止しました。現在はドイツ、フランス、イスラエルに焦点を当てており、他の国々の人々を標的にする個別の試みも見られます。オープンソースの報告によると、Doppelgangerは他のプラットフォームでは同様の変更を行っていないようです。

 これは、米大統領選挙後、ロシアの影響工作が米国やウクライナでの世論操作に以前ほど関心を示さなくなったことを示している。これは非常に興味深い動きだ。

 Facebook で何が話題になっているのか、安全対策がどのように変化しているのかをより深く理解したい場合は、Meta のTransparency Center(外部リンク/英語)で、全てのレポート原文を読むことができる。

© Industry Dive. All rights reserved.

関連メディア