なぜ料理の失敗写真がパッケージに? クノールが展開する「ジレニアル世代」向けキャンペーンの真意Marketing Dive

調味料ブランドのKnorr(クノール)は季節限定のホリデーマーケティングキャンペーン「#EffortisEverything」において、完璧な料理写真を使うのをやめた。その真意とは……。

» 2024年11月21日 11時00分 公開
[Jessica DeyoMarketing Dive]
Marketing Dive

 Unilever傘下の食品ブランドであるKnorr(クノール)は、18〜35歳の、Z世代とミレニアル世代のマイクロ世代である「ジレニアル世代」をターゲットにしたキャンペーン「#EffortisEverything」を展開している。ホリデーシーズンの料理の失敗を素材に、結果よりもむしろ努力を称える内容だ。

 このキャンペーンでは、完璧に撮られた料理写真は使用せず、むしろあまりおいしそうでない一般消費者による写真を採用している。

調査で分かった「ジレニアル世代」の傾向とは?

 この取り組みは、ジレニアル世代の共感を呼ぶことを目的としている。プレスリリース(外部リンク/英語)の中で引用されているPR会社Edelmanの調査によれば、ジレニアル世代の73%が他人の料理の失敗を見ると気分が良くなるという。一方で、この世代の87%が特別な日の料理を失敗した経験があることをためらわずに認め、86%は結果と同じくらい努力も重要だと述べている。

 調査会社のKantarは「ミレニアル世代が食べ物の写真にこだわる理由(Why Millennials are obsessed with food photos)」と題したレポート(外部リンク/英語)を公開しているが、ソーシャルメディアで嬉々として料理の失敗写真をアップするジレニアル世代の姿勢は、彼らより少し上の世代の完璧主義と対照的だ。

 今回の取り組みの鍵となるのが、3人の一般消費者とのパートナーシップだ。彼らが自作した家庭料理の写真はTikTokやPinterestなどのソーシャルメディアで紹介されている他、ニューヨークのDOOH(デジタル屋外広告)に配信される。また、一般消費者はソーシャルメディアに自分の食事を投稿し、ハッシュタグ「#EffortisEverything」を付けてKnorrのアカウント(@Knorr)にタグ付けすることもできる。

 キャンペーンを締めくくるのは、失敗料理の写真を使った限定パッケージだ。これは「キッチンコンフィデンスキット」として提供され、KnorrのInstagramアカウントで行われている抽選に当たると入手できる。このキットには調理器具や料理のヒント、Knorrのレシピが含まれている。

焼き過ぎて真っ黒になった七面鳥、焦げたインゲン豆のキャセロール、卵を入れ忘れ忘れたコーンブレッドがパッケージに(画像はKnorrのプレスリリースより)

 商品にとって重要な季節に実施されるこのキャンペーンは、若い層のロイヤルティーを強化する上で、単にお手頃価格の訴求に頼るよりも効果的だと考えられる。とはいえ、消費者は可能な限りコストを削減する意向であることから、利便性と価格競争力も無視はできないが。

 Knorrはこの他にも、若い消費者を狙ったマーケティング施策を展開している。2024年7月にはラッパーのリュダクリスと提携し、Black Sheepの「The Choice is Yours」をリマスターしたミュージックビデオ「Fast Food Remix feat. Ludacris and Knorr」(外部リンク/英語)を制作した。この企画は消費者にファストフードよりもKnorr製品を選ぶよう促す「テイスト・コンボ」キャンペーンの一環で、今年で2年目を迎える。

 他のブランドもすでに派手なホリデーキャンペーンを展開している。例えば飲料ブランドのSpriteは3年ぶりに新しい祝日キャンペーンとして「The Night Before Christmas」をリミックス。キッチン家電ブランドのSharkNinjaはデビッド・ベッカムを起用したグローバルキャンペーンで同社製品の魅力を訴求している。

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