McDonald’sは米国での「チキンビッグマック」新発売に当たり、若年層とのつながりを強化するためのマルチチャネルキャンペーンを展開している。
McDonald’sは2024年10月10日に米国で「チキンビッグマック」を新発売するに当たり、新たなCMや体験型イベント、ライブ配信のパートナーシップを含むキャンペーンを展開している。
期間限定の「チキンビッグマック」を売り出すためにMcDonald’sは10社以上の広告代理店と協力して大規模なマーケティングキャンペーンを展開している。この商品は、McDonald’sにとって最も象徴的なメニューである「ビッグマック」を鶏肉でアレンジしたもので、10月10日から全米の対象店舗で販売を開始する。今回のキャンペーンは、McDonald’sがどのようにその伝統を尊重しつつ、次世代の消費者に新たな体験を提供しているかを示している。
「デュープカルチャー(※)からライブストリーミングまで、ファンの情熱を最大限に利用することで、単なるサンドイッチ以上のものを提供できます。このキャンペーンでは、あらゆる人に楽しんでもらえるようなものを用意し、チキンビッグマックが店頭に並ぶ前に、驚きと喜びを与えるような体験を提供します」と、McDonald’s USAのマーケティングおよび顧客体験責任者であるタリク・ハッサン氏はプレスリリースで述べている。
※編注:高価なブランド品に似せた商品をより手頃な価格で楽しむZ世代中心のトレンド。SNSでネタとして扱われることも多い。
マクドナルドは9月末に広告代理店のGolinの協力の下、「McDonnell’s(マクドネルズ)」という名のパロディー店舗をロサンゼルスでオープンした。これは、人気フランチャイズ店のメニューを基に全く新しい料理を提供するコンセプトレストラン「Chain」がホストしたイベントで、チキンビッグマックはここで提供された。
また、McDonald’sはTwitchで1300万人以上のフォロワーを持つ人気ストリーマーのカイ・セナットと提携している。セナットは、彼の有名人の友人たちと「チキンビッグマックは本当にビッグマックなのか?」というテーマで討論を繰り広げている。このAmazon傘下のライブストリーミングプラットフォームでは、いまやゲームだけでなくさまざまなカルチャーが交差しており、若い消費者にリーチするための場としての地位を確立している。
セナットとのパートナーシップに伴い、Wieden + Kennedyによる数々のカスタム広告が展開されている。Zynga開発のレトロ風ミニゲームでは、ゲーム内でチキンビッグマックを製造できるようにした。ゲームブランドXSETの動画シリーズの中で、ゲームのサウンドトラックとASMRサウンドをリミックスさせる企画も実現した。10月10日には、ラスベガスの球体型ドームSphereがMcDonald’sによってジャックされ、外壁サイネージには超巨大な「ビッグマック」と「チキンビッグマック」が表示される予定だ。
討論は、IW Groupによる新CMの中でも続いている。このCMにはコメディードラマ「フアン家のアメリカ開拓記」のキャストであるランダル・パークとハドソン・ヤンが出演する。また、McDonald’sは、「Billboard Latin Music Week」の期間中にメキシカンバンドのエスラボン・アルマドと「Big Mac Bash」を開催する予定だ。このイベントはPR会社Bodenが主導している。
チキンビッグマックのマルチチャネルかつマルチカルチャーを取り入れたマーケティング展開は、前年の「グリマスの誕生日」にフォーカスしたキャンペーンを彷彿とさせる。このキャンペーンでは、懐かしいキャラクターを取り入れた新スポットや8ビットゲーム、グッズ、Snapchatの拡張現実(AR)体験などを提供した。McDonald’sはこの時期の米国における売り上げ増加を「バイラル現象」によるものと報告している。
McDonald’sは、2024年の第2四半期に米国の既存店売上高が0.7%減少したことを発表している。売り上げ減少は2020年以来初めてのことで、同社は客足と取引数を増やすため、価値主導のマーケティングに注力している。
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