「リスクヘッジ購買」の実態 購入後に生活者が気にしていることとは?電通デジタル「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2024」

電通デジタルは、「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2024」を実施した。コロナ禍の行動制限がほぼ解消した現在も、購買行動全体におけるデジタルシフトの動きが継続していることが分かったことに加え、新たな傾向も見えてきた。

» 2024年10月10日 14時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が薄れて生活者が日常を取り戻す中、購買行動も変わりつつある。電通デジタルが実施した「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2024」の結果から見えてきた新たなトレンドを紹介する。

「購買後の行動」に変化 関心が高まっているのは……

 調査は2022年から実施しており、今回が3回目。生活者のEC(オンライン)と店頭(オフライン)を横断した購買行動を可視化することを目的に、13カテゴリー29商品(※)をベースに「認知」「比較検討」「購買」「購買後」の各フェーズにおいてユーザーがどのようなチャネルに触れ、行動しているのか、4350人を対象にアンケートを実施した。

※ファッション・インナー・小物/美容・コスメ/食品・スイーツ/ドリンク(お酒以外)/お酒/日用雑貨/ダイエット・健康/医薬品・コンタクトレンズ/ギフト/ペット用品/電化製品/インテリア/キッズ・ベビー・おもちゃ

 調査では、比較検討の段階でオンラインチャネルを利用する生活者が2022年の50.0%から、2023年には52.2%、2024年には55.7%と、着実に増えていることが見えた。

購買行動におけるデジタルシフトが継続(出典:電通デジタル「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2024」、以下同)

 支出金額をオンラインと実店舗で比較すると、1万円未満の購入は実店舗が多く、1万〜5万円の価格帯ではオンライン決済が増える傾向にあった。5万円以上になると大きな差はなかった。

高価格帯の商品購入におけるオンラインと実店舗の利用の差は少ない

 電化製品など検討要素の多い商品において、生活者がオンラインと実店舗を行き来しながら慎重に購入する傾向も2023年度に続いて確認できた。例えば電化製品では、オンラインと実店舗を行き来する生活者が5.9ポイント増加し、検討を経て購入する割合も2.7ポイント増加した。商品の仕様や詳細情報を把握し、さらに実物を確認することで、購買リスクを減らしたいという考えがあるようだ。

検討要素の多い商品はオンラインと実店舗の両方で情報収集している

 「最近の買い物」における意識を聞いたところ、生活者の25.5%がオンラインでの購入が増えたと回答している。中でも注目すべき回答として、8.8%の「中古品を購入するようになった」や4.8%の「将来売却することを考えて購入する」を挙げている。モノの所有だけでなく、リセールへの関心への高まりが見て取れる。購入後の商品価値の維持を重視する考え方は、生活者のリスクヘッジを考えた購買傾向の強まりの表れと見られる。

購入後も価値が保たれる商品を見極める行動傾向が強まる

 情報収集の際に企業の公式サイトを利用する頻度が増加していることも明らかになった。公式サイトで購入する理由として最も多かったのは「公式サイトだと安心だから」(12.5%)で、確かな商品情報に加えて安全性や信頼性を求めていおり、ここでもリスクヘッジ購買の傾向が見て取れる。一方で、モールECも引き続き主要な購買チャンネルとなっている。こちらの活用の理由は「ポイントを貯めたいから」(37.3%)や「貯まっているポイントを使いたいから」(27.3%)などが目立つ。これはポイントの活用で生活者の経済的負担を軽減でき、生活者のリスクを分散させ、購買行動に安心感を求める「リスクヘッジ購買」の一環とも捉えられる。

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