在任期間はたったの…… 「CMO」という仕事の知られざる現実Marketing Dive

Forresterのレポートによれば、CMOという役職の在任期間や代表性には大きな差がある。これはどういうことなのか。

» 2024年09月25日 08時00分 公開
[Sara KarlovitchMarketing Dive]
Marketing Dive

 CMO(最高マーケティング責任者)の役割はここ数年で大きく変化した。予算の削減や人工知能のような新技術の影響に対する不確実性、そして在任期間の短さなどから、今後この役職の将来に何が待ち受けているのか、注目されている。Forresterの最新のレポートによると、CMOの地位は業界やビジネスモデルによって大きく異なる。

CMOの平均在任期間は?

 同レポートは、CMOの平均在職期間がわずか4.1年になっていることを指摘する。「悪魔は細部に宿る」と話すのは、Forresterバイスプレジデント兼主席アナリストのイアン・ブルース氏だ。「統計によると、多くの業界においてCMOは十分に権限があり、非常にうまくやっていると言えます。しかし、そうでない業界もあります」

 「2024年のFortune500企業におけるCMOの代表性と在任期間」と題されたこのレポートは、2023年12月から2024年3月までの間に収集されたFortune500企業のデータを基に作成された。追加データは企業のWebサイト、LinkedInページ、財務レポートなどの公的情報から取得された。

代表性の違い

 CMOという役職は依然として存在しているものの、その役割の存在感や分かりやすさは業界やビジネスモデルに大きく依存している。例えば、金融サービスや保険会社の91%にはCMOまたは他のマーケティングリーダーがいるのに対し、エネルギーや鉱業の企業ではその割合がわずか21%にとどまっている。しかし、全体としてはCMOの役職は一般化しており、レポートで分析された9つのカテゴリーのうち7つで、50%以上の企業にCMOが存在していることが確認された。

フォーチュン500企業におけるCMO(最高マーケティング責任者)職の普及率
産業 CMO設置割合
1 公益事業と通信 88%
2 小売と卸売 86%
3 一次産品製造と製薬業 44%
4 メディア、エンターテイメント、レジャー、ホスピタリティ 69%
5 ハイテク製造 79%
6 医療 65%
7 金融サービスと保険 91%
8 ネルギーと鉱業 21%
9 ビジネスサービスと輸送 55%
表は著者がDatawrapperで作成(翻訳はITmedia マーケティング編集部)

 ブルース氏は「企業にCMOがいるかどうかは、その業界によって非常に異なります。一部の業界では、CMOを設置するのが当たり前であり、業界の仕組みの一部として定着しています」と述べている。

 ビジネスモデルもまた重要な要素となっている。Fortune500企業全体の63%が、CEOに直接報告するCMOまたは他のマーケティングエグゼクティブリーダーをシニアマネジメントチームに置いているが、B2C企業に限るとその割合は84%に上るのに対し、B2B2Cでこの役職を擁している企業は66%、B2B企業48%にとどまった。

在任期間の課題

 注目すべきは、女性が6つの業界でエグゼクティブマーケティングリーダーの過半数を占めている点である。これには、公共事業・通信(71%)、医療(64%)、金融サービス・保険(56%)、ハイテク製造業(55%)、一次産品製造業・製薬(53%)、小売・卸売(51%)が含まれる。一方で、女性が過半数を占めていない業界には、ビジネスサービス・運輸(44%)、エネルギー・鉱業(36%)、メディア・エンターテインメント・レジャー・ホスピタリティ(33%)がある。

 この傾向はビジネスモデルによらず変わらない。B2B2C企業の59%のCMOまたはエグゼクティブマーケティングリーダーが女性であり、B2B企業では51%、B2C企業では50%となっている。しかし、男女の間には依然として差が存在する。男性のシニアマーケティングリーダーの在任期間は平均4.3年であるのに対し、女性は平均3.8年である。

 在任期間の長さは業界ごとに差が見られる。公共事業・通信業界では、男性の平均在任期間が5.5年であるのに対し、女性はわずか3.4年である。一方で、一次産品製造業・製薬業界ではその差が小さく、男性が4.1年、女性が3.6年となっている。

 しかし、一部の業界では女性がリードしている。例えば、ビジネスサービス・運輸業界では、女性の平均在任期間が3.4年であり、男性の3.2年を上回っている。また、ハイテク製造業では女性が4.2年、男性が3.8年、医療業界では女性が4.3年、男性が3.9年と、女性の方が長く在任している。

 ブルース氏は、「代表性が高い企業では在任期間が長くなり、代表性が低い企業では在任期間が短くなる傾向があります。これらは相関関係にあり、Cレベルの役職では必然的な結果です。業界の文化に適合している場合、CMOは長くその役職に留まる傾向があります」と述べている。

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