2024年上半期に何がより売れて、売れなかったのか。推定販売金額の伸びから日用消費財の売れ行きを振り返る恒例のランキングを紹介します。
インテージは、全国約6000店舗で収集している小売店販売データ「SRI+(全国小売店パネル調査)」を基に、日用消費財の中で何がより売れたかを推定販売金額の伸びから振り返る「2024年、上半期売れたものランキング」を発表しました。(データは5月分まで使用)。結果は以下の通りです。
2024年上半期1位となったのは「パック」(前年比154%)、2位は「靴クリーム」(同133%)、3位は「強心剤」(同132%)でした。
パックが大幅な伸びを見せた背景には、外出機会増加による化粧品需要の回復、韓国コスメの拡大や有名タレントによるパックブームなど複数の要因があるようです。特に女性の購入率(期間中に1回でも商品を買った人の割合)が伸びており、女性全体では2023年上半期の15.8%から18.5%まで上昇。年齢別では、30代女性(購入率24.1%)と40代女性(同20.8%)がそれぞれ前年同期比で5ポイント以上購入率を伸ばし、15〜29歳女性の購入率に近づきつつあります。
2位の靴クリームもパックと同様、外出機会の増加による需要増を感じさせます。同項目には革靴用のクリームタイプだけでなく、スニーカー用のシートタイプの商品も含まれており、スニーカー用商品の人気が購入率の伸びに寄与しているようです。5位に入った「リップクリーム」(前年比128%)も外出機会増加の影響を受けた商品でしょう。マスクの着用機会も減少する中で、数字を伸ばしました。
今回の調査では9位に「米」(前年比118%)が入りました。インテージはスーパー、コンビニ、ドラッグストアで袋詰で販売されている商品を中心に推定販売金額を調査していますが、「過去に米がランクインすることはほぼなかった」そう。同社はランクインの背景に、2023年に一部地域で作柄が落ちたこと、インバウンド需要による外食向けの販売好調といった要因による米の価格上昇の影響があるとみています。10位の「煮干し」(同117%)、11位「中性洗剤」(同117%)、14位「漂白剤」(同117%)は販売数量の大きな伸びはないもののランクインしており、価格上昇が推定販売金額の伸びに大きく影響した商品といえそうです。
ランキング上位には、医薬品も見られます。3位「強心剤」(前年比132%)は2023年に続き訪日外国人観光客の寄与が大きく、外国人観光客に人気の商品を中心に販売金額が伸びています。インバウンド需要に加え、国内需要も強かった「ビタミンC剤」(6位、同119%)、「鎮咳去痰剤」(13位、同115%)もランクインしました。
2024年上半期、最も販売苦戦した商品は「検査薬」(47%)でした。2位に「マスク」(75%)、8位に「殺菌消毒剤」(88%)が入り、コロナ禍で需要が高まっていた衛生用品の下落が目立ちます。4位の「オートミール」(79%)もコロナ禍に大幅な販売増を記録した商品です。「2022年上半期に売れたものランキング」では1位を獲得するほどでしたが、その反動が出た形となっています。
いよいよ“コロナ明け”を感じさせる調査結果。マーケターは変わりゆく消費者のインサイトを的確に捉える必要がありそうです。
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