「Threads」が月間アクティブユーザー1億5000万人を突破 今後Xを追い抜くための最善策は?Social Media Today

Metaはイーロン・マスク氏率いるTwitter(当時)の対抗馬として2023年7月にリリースしたソーシャルアプリ「Threads」の月間アクティブユーザー数が1億5000万人を突破したと発表した。

» 2024年04月29日 13時00分 公開
[Andrew HutchinsonITmedia マーケティング]
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 Metaは、マーク・ザッカーバーグ氏がイーロン・マスク氏への嫌がらせで立ち上げたTwitter風ソーシャルアプリ「Threads」の月間アクティブユーザーが1億5000万人を突破したと報告した。 

米国ではデイリーアクティブユーザー数でX超えの報告も

Metaは米国時間2024年4月25日、公式X(外部リンク/英語)で月間アクティブユーザーが1億5000万人を突破したと発表

 嫌がらせというのはもちろん冗談だ。ザッカーバーグ氏はマスク氏に恨みがあったわけではない、多分。

 Threadsはもともと、人々が自分のアイデアを表現するためのより「ポジティブで創造的な空間」を提供すべく2023年7月に開始された。

 もちろん、Twitterを意識していることは明らかだったが、Meta CEOのマーク・ザッカーバーグ氏はTwitterがXになり、現在のような状態に変貌してしまったことを踏まえ、「もう少し前向きな公開会話アプリ」を提供することThreadsの目的だと語った。

 だから、イーロン・マスク氏への直接的な対抗というわけではない。しかし、ある意味ではそう言えなくもない。

 そしてそれは、時間の経過とともに、より多くの人々の共感を呼んでいるようだ。Threadsは2024年2月に月間アクティブ数が1億3000万人に達し、2カ月でさらに2000万人増えた(外部リンク/英語)。

 一方、これは試行錯誤を続けるイーロン・マスク氏にとってあまりいいニュースではない。

 マスク氏とXは、Xの利用が増加していることを示唆する曖昧な統計を発表し続ける一方で、メディアの偏向から離れた「真実」(外部リンク/英語)を求めてXに目を向ける人が増えていると主張しているが、X自身ととサードパーティーのアナリストが報告するデータは、Xが実際にはいつまでたってもオーディエンスを増やしていないことを示唆している。

 Xは利用状況の伸び悩みが続いている。2024年3月に2500万人のデイリーアクティブユーザーを維持していると主張しているが、これは2022年11月の買収直後と同じ数字だ。つまり、Xは過去16カ月間、デイリーアクティブユーザー数が横ばい状態にあるのだ。

 さらに、第三者機関による調査では、Xの利用は過去1年間で13%から30%減少している。

 これに加えて、Apptopiaが最近発表したレポートによると、米国でのThreadsのデイリーアクティブユーザー数はXを上回っている。MetaのTwitter対抗戦略は成功しつつあるようで、事業拡大の大きなチャンスを迎える可能性がある。

 そしてそれは、大方の予想よりも早く訪れるかもしれない。

 Metaは当初、Threadsのユーザー数が数億人規模になるまでは有料広告を導入しない方針としていたが、Digiday(外部リンク/英語)は最近、Metaの広告担当幹部がブランドパートナーに対して2024年後半にもThreadsに広告が入る可能性があることを伝えていると報じた。

 その成長の軌跡からすると、Threadsは2024年10月頃までに2億人のユーザーに到達する軌道に乗っている。いずれも現実のものとなる可能性はあるだろう。しかし、そのためにはまだ多くのことがうまくいかなければならない。Threadsが毎月1000万人の新規ユーザーを増やし続けるためには、さらに魅力的な新機能の導入などが必要となるだろう。

 当然、Threadsのチームはこれに取り組んでいる。

 彼らはインフルエンサーとのパートナーシップ強化や、Xで重要な位置を占めていたスポーツコミュニティーがThreadsに移行するためのインセンティブの提供も検討している。

 最近では、テイラー・スウィフトがニューアルバムのプロモーションのために初めてThreadsに投稿したことも話題になった。このような地道な努力が実を結べば、いずれThreadsがXを抜いてリアルタイムソーシャルメディアのトップアプリに躍り出ることになるかもしれない。

 あるいは、Threadsチームはただマスク氏が旧Twitter時代からの会員を遠ざけ続けるのを待つこともできる。

 実際、それはThreadsの最良の成長戦略になるかもしれない。マスク氏の分断を招く政治的立場やプラットフォームの改悪によって、今後ますます多くの人々がXから離脱する可能性がある。Xwo離脱したユーザーをThreadsが受け止め、コアユーザー層を構築できれば、そして時間の経過とともにかつてのTwitterに似た存在となれれば、Xに勝利するかもしれない。

 ただし、まだそこまでには至っていない。

 Threadsの月間アクティブユーザー数は1億5000万人だが、Xはデイリーアクティブユーザーで2億5000万人、月間だと5億人以上がアプリにログインしている。つまり、Threadsはまだ道半ばだ。それでも勢いは増しており、少なくとも現時点ではXよりもはるかに勢いがある。

 Metaは、Threadsを政治やリアルタイムニュースとは切り離す方針を取っており、これが潜在的なデメリットになる可能性もあるが、明らかにThreadsはより多くのユーザーを獲得している。アプリ内でより多くのコミュニティーが活発化すれば、ある段階でThreadsがXを追い抜く可能性は十分にあるだろう。

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