博報堂は、独自の大規模生活者調査データベースに生成AI技術を組み合わせて作り出した「バーチャル生活者」との対話を通して生活者の考えを知ることができるサービスを開発した。
博報堂は2024年3月22日、生成AIを活用して生活者を深く理解するためのサービスプロトタイプを開発したと発表した。同社独自の大規模生活者調査データベース「HABIT」のデータ(匿名化されたもの)から生活者の基本プロフィール、価値観/意識、生活行動、消費行動、メディア消費、ブランド評価の情報を生成AIに読み込ませて7000タイプの「バーチャル生活者」を生成する。
生身の人間の場合、例えば会社内における部下と上司の関係のように、一般的には立場が違う相手には本音を言いにくい。その点、バーチャル生活者は価値観・バイアスや状況などに左右されることがない。バーチャル生活者にインタビューすることで、忖度(そんたく)を排した本音を聞き出すことができるため、リアルな意見やニーズなどを聞き出すことができるという。マーケティングや商品開発をはじめ、組織づくり、アイディエーション、ワークショップといった多岐にわたる領域での活用を想定している。現在はプロトタイプとして博報堂社内で試験的に利用しているが、今後ブラッシュアップを経て対外的なサービス展開も見据えている。
バーチャル生活者のインサイトやペルソナ、カスタマージャーニーを把握することができる他、バーチャル生活者へのインタビューができる。メッセージアプリのようなユーザーインタフェースを備えており、バーチャル生活者同士の会話を観察することもできる
開発に当たっては、サービス開発やUXデザインの専門チームであるhakuhodo DXDとAI・データサイエンスに強みを持つData Science Boutiqueが参加。外部パートナーとして、AI/IoTを活用したサービス開発の支援拠点であるMicrosoft AI Co-Innovation Labを利用。そしてAIのスペシャリスト集団であるLaboro.AIと連携した。プロジェクトには、テクニカルディレクターやUXデザイナー、データサイエンティスト、アートディレクターなど多様な専門家が携わった。
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