Burger Kingが米国で開始した生成AIを使ったユニークなコンテストは、カスタマイズできるワッパーを売りにしてきたブランドの伝統を今風のやり方でスマートに実現するものだ。
1974年、Burger Kingはアイコニックなスローガン「Have it your way(お好み通りに)」をジングル付きで発表し、消費者に「特別な注文で私たちを動揺したりしません。私たちが求めるのはお客さまのお好みに応じて提供することです!」と約束した。あれから50年、このファストフードチェーンは、カスタマイズされたハンバーガーの注文という約束を次のレベルに引き上げるために、生成AIによって推進されるコンテストを実施している。
Burger Kingは2024年2月5日に「Million Dollar Whopper Contest(100万ドルのワッパーコンテスト)」を開始し、消費者に自分だけのワッパーを作らせて賞金100万ドルを獲得するチャンスと、応募者3人限定で自分のオリジナルバーガーを期間限定で販売する機会を提供した。消費者が公式アプリまたは特設サイトから最大8つの食材を入力すると、生成AIがハンバーガーとカスタマイズされたジングルに命を吹き込み、ソーシャルメディア上で共有できる画像とビデオを生成してくれる。
「Million Dollar Whopper Contestはこれまでにない方法によるカスタマイズに取り組んでいる。実際に店でワッパーイノベーションの成果を目にする機会があるのは選ばれた3人のゲストだけであることが分かっているため、応募者全ての人の提出物に命を吹き込むことができる方法を模索したいと考えた」と、Burger KingのCMO(最高マーケティング責任者)を務めるパット・オトゥール氏はメールでコメントした。
「そこでAIを採用した。AI(特に生成AI)がさまざまなマーケティングコンテンツの作成、エンゲージメント、最適化の方法を進化させ続けることは分かっている。とはいえ、私たちはブランドの伝統に根ざした本物の方法でこの分野に参入することを確かめたかった」と同氏は付け加えた。
このコンテストは、来店客の約半数が何らかの方法でワッパーズをカスタマイズしているBurger Kingならではの洞察と、カスタマイズを中心としたマーケティングの優先事項、そしてエンゲージメントと来店頻度を高めるためのロイヤリティプログラム「Royal Perks」を通じた新しいインタラクション方法を消費者に提供することに結び付いている。生成AIの使用は、1年以上にわたってもてはやされてきたこのテクノロジーがようやくマーケターにとってのユースケースを示し始めたことを意味する。
「当社はAIの活用によって、ブランドに忠実でありながら、ゲストにシームレスで楽しい体験をしてもらえるようなキャンペーンを実現する大きなチャンスがあると考えた。AIは消費者対応の面だけでなく、ゲストが入力する食材をチームが評価し理解する方法としても重要な役割を果たしている」とオトゥール氏は語った。
生成AIにリスクや批判がないわけではない。AIへの過剰投資に関する話は、よからぬ生成結果やハルシネーション、ディープフェイクに関する話と同じくらいよく耳にする。しかし、最先端のテクノロジーを駆使したマーケティングに意欲的なことで知られるBurger Kingはその点、できる限りの準備をしているようだ。
「AIは他の新興テクノロジーと同様に、強力だが少し予測不可能だ。私たちも相当な準備をし、ゲストに予想外の事態を想定するよう伝えてきた」とオトゥール氏は言う
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