Google親会社の好決算を後押ししたYouTubeのCEOが、今後における4つ注力分野を発表した。
Googleの持株会社であるAlphabetが2024年1月30日発表した2023年第4四半期の決算によると、同社の第4四半期の売上高は前年同期比13%増の863億ドルとなった。広告収入は前年同期比11%増の655億ドルに達した。このうち、Google広告最大のセグメントである検索広告は同12.7%増の480億ドルで、傘下のYouTubeの広告収入は前年同期比15.5%増の92億ドルだった。Googleのサブスクリプションサービス、プラットフォーム、デバイスの売り上げは前年同期比23%増の108億ドル、クラウド事業が前年同期比26%増の92億ドルとなった。
特筆すべきはサブスクリプションサービスだ。YouTubeのプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントであるアダム・スミス氏はYouTube公式ブログのエントリ−「YouTube MusicとYouTube Premiumの総メンバー数が1億人を突破」(外部リンク)で、Googleのサブスクリプションサービスの大半を占めるYouTubeの2つの有料プラン「YouTube Premium」「YouTube Music」の総ユーザー数が2024年1月時点でトライアルを含めて1億人を超えたと報告している。
YouTube音楽部門グローバル責任者のリオ・コーエン氏は「1億人のメンバーに感謝」と題したエントリー(外部リンク)で「わずか1年余りでメンバー数が2000万人増加したことは、広告収入と定額制サービス収入という2つの強力な原動力の強みを物語っています」とコメントしている。
YouTubeのCEO ニール・モーハン氏は「YouTube CEOからのレター:2024年の4つの投資」において、2024年は以下の4つの分野に注力すると述べている。
YouTubeは、2023年にAIによって生成された動画や画像に背景を追加することができる「Dream Screen」という新機能を発表した。これにより、ユーザーはアイデアを入力するだけで、ポップコーンが噴き出す火山やディスコの森など、さまざまなものを作成できるようになった。また、アーティストや作曲家、プロデューサーと協力し、「YouTube Music AI Incubator」を立ち上げ、AIがクリエイティブプロセスを強化する方法についてフィードバックを得ている。「Dream Track」という音楽分野におけるAIの試験運用も発表した。YouTubeはこれらの取り組みを通じて、AIの利用を民主化し、誰もが簡単にコンテンツを作成できる環境を提供する。
クリエイターの収益化支援としては「商品の紹介」機能に投資している。また、視聴者はチャンネルメンバーシップなどの視聴者ファンディング機能を通じて、お気に入りのクリエイターを直接サポートしている。メンバーシップを利用するクリエイターの数は前年比50%以上増加している。また、クリエイターコミュニティー「Creator Collective」の試験運用を8カ国で開始した(日本未導入)。2024年は、業界の政策立案者やパートナーにクリエイターがもたらす経済的価値およびエンターテインメントとしての価値をより理解してもらえるようサポートしていく予定だ。
世界中でYouTubeのコンテンツが毎日平均10億時間以上テレビ画面で視聴されている中、クリエイターはコンテンツをリビングルーム向けに最適化する方法を模索している。過去3年間で視聴時間の大部分をテレビ画面で得たトップクリエイターの数は400以上増加した。YouTubeの定額制サービスについても反響が高まっている。YouTube Musicの定額制サービスは、音楽フェス「Coachella」関連情報への先行アクセスから、 NewJeans、Dua Lipa、Tate McRaeなどのYouTubeショートチャレンジまで、アーティストがファンとつながるための最高の場所になるというYouTubeの目標達成にも貢献している。
以上の優先事項に取り組む中でYouTubeが最も大切にしていることは、責任を持ってYouTubeコミュニティーを保護することだ。YouTubeの若年層向けの製品は毎月1億人以上のアクティブな視聴者にリーチしており、子育てやメンタルヘルスの専門家と協力して、さまざまな面に配慮しながら子どもたちや青少年(英語)の成長をサポートしている。
他にも、人々を質の高い情報に結び付けることで責任を果たしている。2024年は50か国以上で選挙が行われる。YouTubeでは、ユーザーが選挙関連ニュースを検索すると、信頼できる情報源が検索結果やおすすめで見つかりやすいようにしている。
YouTubeは長年にわたり、YouTube上のコンテンツを責任を持って管理するための対策に投資(英語)しており、ヘイトスピーチ、暴力扇動、選挙妨害などに対する厳格なポリシーもその一環だ。生成AIによってディープフェイクの巧妙さが増しているが、合成によって生成されたコンテンツには既存のポリシーを適用するだけでなく、透明性と保護設定の新しいレイヤーも追加していく。例えば、今後数か月以内に、実物然としたコンテンツを目にしている視聴者に対し、それが合成であると知らせるラベルを導入する予定だ。
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