「Maketing Dive」が予言する2024年のトレンドの7つ目「透明性へのアプローチが変わる」と8つ目「AIに対する目はますます厳しくなる」について詳しく紹介する。
Cookieの死と生成AIの台頭でマーケターは新たな世界に歩を進めざるを得なくなっている。ターゲティングの在り方は大きく変わり、ハイパーパーソナライゼーションの実現が期待されている。もっとも、その過程ではつまずき、教訓を得ることもあるだろう。
「Maketing Dive」は、2024年のトレンドとして以下の8つを予言している。
本稿では、このうち7と8について紹介する。
デジタルの世界は2024年も複雑なままであるに違いない。透明性への懸念とメディアの断片化への対処は少しずつ進展してきたが、GoogleによるCookieの段階的廃止とその代替となるIDベースのターゲティングの出現によって、妨げられる可能性がある。主力チャネルは効果が最重要となるため、品質改善の努力を続けるだろう。全米広告主協会(ANA)のレポートは、平均的にキャンペーンは約4万4000のWebサイトで実行されており、プログラマティック広告の浪費につながっていると指摘する(関連記事:「プログラマティック広告の不都合な真実 220億ドルの予算をどこで溶かしているのか?」)。加えて、データへのアクセスが遅れ続ける中、情報の不一致が依然として広告主の最大の懸念事項となっている。
ANAのグループエグゼクティブバイスプレジデントであるビル・ダガン氏によれば、2024年には多くの側面でメディアの透明性が進化すると予想されるが、無駄を省くことが最優先課題になるという。
「2024年も議論が続くと思われるもう1つの問題は、広告のために作られたWebサイト、いわゆるMFAに関するものだ。私はこの業界に40年いる。ANAには23年間勤務している。私たちの研究チームがその洞察を明らかにするまで、この言葉は誰も聞いたことがなかったと思う」(ダガン氏)
MFAは多くの場合、ユーザー体験を低下させ、キャンペーンのパフォーマンスに悪影響を与える。このようなジャンクサイトは、マーケターが出稿を拡大すればするほど、ますます増加している。ダガン氏によれば、この問題は微妙なところがあるという。多くのプラットフォームやパブリッシャーは、自分たちがMFAとして不当にレッテルを貼られていると感じており、そのため2024年になってからも対話を継続せざるを得なくなっている。
ChatGPTの熱狂をきっかけにAIは2023年にマーケティング環境を一変させたが、2024年にはさらにAIが普及することが確実だ。
Coca-Colaが生成AIを使ってラスベガスの球体型施設「Sphere」で西暦3000年の世界を描いたように、マーケティング担当者はこのテクノロジーを中心としたキャンペーンを展開し、消費者の熱狂を利用してきた。さらに、この技術は管理プロセスへの統合が進んでいる。業界のレポートによると、マーケティング担当者の87%がAIツールを使用または実験した経験がある。
しかしながら、AIが今後進む道は必ずや険しいものとなるだろう。データ収集とAIの悪用に対する監視の目が厳しくなっているための立法や法的措置が講じられる可能性が高まっている。それでもこの技術は、より人間味がありバランスがとれたものとなれば、消費者を魅了し、これまで実現できなかった規模でのパーソナライゼーションを提供する可能性を秘めている。
欧州最大級のグローバルコンサルティング企業Capgeminiで市場開拓戦略責任者よ米国GenAI CXリードを務めるオリー・イースト氏は「これこそ究極のハイパーパーソナライゼーションだ」と語り、「人間の創造性、つまり人間的な要素はとても価値がある。それは全体のバランスの中で不可欠な部分だ」と付け加えた。
© Industry Dive. All rights reserved.