Hootsuiteが「Social Trends 2024」と題したレポートを発表。ソーシャルメディアを巡る状況が大きく変化している一方で、ブランドの取り組みは停滞していると指摘しています。
ソーシャルメディア管理ツールを提供するHootsuiteは、4281人のマーケターと4508人の消費者を対象とした調査を基にした「Social Trends 2024」と題するレポートを発表しました。今回のレポートの主要なメッセージは以下の3つです。
Hootsuiteが1万5500以上のニュース記事とブログを対象に実施した分析によると、AIへの関心は非常に高く、2022年から2023年にかけてAIについての学習に関するトピックスが550%増加しました。マーケターもこの流れに便乗し、組織のさまざまな活動においてAIの使用を2倍、場合によっては3、4倍にすることを計画していると報告しています。
しかし、マーケティング業務へのAI活用にはリスクも存在します。消費者の62%は、コンテンツがAIによって作成されたと知ると、そのコンテンツに興味を持ったり信頼したりする可能性が低くなると回答しています。ただし、AIが生成したコンテンツに対する信頼度は世代によって異なります。例えばZ世代は他の世代よりも、何が本物で何がAIによって作られたものかをよく知っていると主張する傾向が強い一方で、AIコンテンツを信頼し、それに関心を持つ傾向が強くなっています。
Hootsuiteは「2024年、最も成功しているブランドは“信頼性”を再定義するだろう。もはや誰が(あるいは何が)コンテンツを作ったかではなく、コンテンツが顧客にもたらすブランド体験が重要なのだ」と述べています。
平均的なソーシャルメディアユーザーは7つのプラットフォームにログインしているとも言われる(外部リンク/英語)中で、その全てに十分なリソースを割くのは困難です。実際、マーケターがソーシャルメディアマーケティングのROIに関する懸念事項として挙げたものの中で最も多い回答は「複数のソーシャルプラットフォームで存在感を維持するための時間または予算の投資」(52%)でした。
各ソーシャルメディアがユーザーや広告主向けに新たな機能を頻繁にリリースすることに、マーケターの半数以上(58%)は、「追い付くのが難しい」と述べています。戦略的組織は時間とリソースの配分において無理をせず、ROIを中心に据えてプラットフォームの優先順位を変更しています。
マーケターがソーシャルメディアマーケティングのROIを実証するために使用する指標として最上位になったのは「エンゲージメント」(69%)です。しかし、68%のマーケターはソーシャルメディアマーケティングのROIについて懸念しています。
では、エンゲージメントを妨げるものは何か。消費者の34%は、自己宣伝に重点を置くブランドについてマイナスの印象を持っています。また、消費者の56%は、ブランドはもっと共感されるべきであると考えています。にもかかわらず、48%のマーケターは依然として製品やブランドの最新情報やニュースを週に何度も発表しています。消費者が関わりたくないものを与えながら、エンゲージメント指標でROIを実証しようとするのは無理があります。
HootsuiteでCMO(最高マーケティング責任者)を務めるエリナ・ヴィルク氏は今回のレポートに関するプレスリリースにおいて「マーケターの42%が、自分の本当の視聴者が誰なのか、何が彼らを興奮させているのかを理解していないため、ソーシャルの真の価値を認識することは困難だ」と指摘しています。また。同社マーケティング担当バイスプレジデントのビリー・ジョーンズ氏は「現代の優れたソーシャル戦略では、(コンテンツによって)9回関係性に価値を与え、10回目に価値を引き出す。ソーシャル上の人間関係は双方向のものであり、他の場所と同様に、受け取るよりも与えることを目指すべきです」と述べ、これからのソーシャル戦略の在り方として「90%ルール」を提唱してます。
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